ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

第108回 コンピューターゲームのレイティング(等級分け)システム導入について


ニュース 法律 作成日:2012年3月14日_記事番号:T00035939

産業時事の法律講座

第108回 コンピューターゲームのレイティング(等級分け)システム導入について

  台湾の「児童及少年福利法」は立法院において「児童及少年福利与権益保障法」へと改正され、2011年12月より施行されました。新法の規定によると、新聞以外の出版物、録音番組およびその内容を記憶した媒体、コンピューターゲームは、レイティング管理義務者がレイティングを行わなければなりません。その他の児童および少年の心身の健全な発育に害をなす恐れのあるもので、当該事業の主務官庁がレイティングの必要性を判断した場合も同様です。

レイティングを義務付け

 同法ではまた、新聞以外の出版物、録音番組およびその内容を記憶した媒体については行政院新聞局が、テレビ等の放送内容については国家通訊伝播委員会(NCC)が、コンピューターゲームについては経済部が、それぞれレイティングに関する主務官庁となることを規定しています。経済部は既に「遊戯軟体分級管理弁法(コンピューターゲーム・レイティングシステム管理規則)」を定め、今後公布を行った後、13年1月1日より施行する予定です。

 規則の草案によると、レイティングシステムが導入されるコンピューターゲームには、「コンピュータプログラムの形式を用いて、電子設備を操作することにより、ゲーム操作の目的を達することができるソフトウエア」がすべて含まれます。経済部はさらに、オンラインゲーム、モバイルゲーム、スマートフォンアプリなどもレイティングの対象とする計画です。

末端販売店にも責任

 草案によると、コンピューターゲームのレイティングは5段階で、メーカー自らがレイティングを行って、その結果を経済部のデータベースに登録しなければなりません。また、こうしたレイティングおよび登録の義務は、コンピューターゲームの発行メーカー、代理店のほか、実際の提供者、つまり並行輸入業者や、末端の販売店にまで課せられます。

 レイティングの結果は包装上に表示されなければなりません。例えば「限制級(日本の「Z級」「18禁」に相当)」の場合、表示の大きさは包装の長辺の15%以上でなければなりません。ダウンロードタイプのゲームの場合は、ダウンロードを行うホームページ、またはトップページ、リンクの端などにその旨の表示を行わなければなりません。

 また、ゲームの内容に、性描写、暴力、恐怖、飲酒、喫煙、麻薬、下品な言葉遣い、その他の反社会的な表現、ギャンブル、パズル、恋愛、交友などの内容が含まれる場合は、必ず中国語でその内容分類を表示しなければなりません。ただし、表示される内容は3種類を超える必要はありません。この他にも、すべてのコンピューターゲームには「注意使用時間,避免遊戯沉迷(夢中になりすぎないよう、使用時間に注意しましょう)」との警告文を添えなければなりません。警告文についての言語の規定はありませんが、解釈上、中国語でなければならないでしょう。レンタル、または散布、展示、陳列、ダウンロードの提供者も、合法的な表示がなされていることを確認しなければなりません。表示をせずにそれらの行為を行った場合、改善命令、販売停止・排除処分を受ける可能性があります。また、サイトサービスの提供者も同様に、児童および少年によるダウンロードとホームページ閲覧を制限する必要があります。

 以上の規定に違反した者に対しては、25万台湾元以下の罰金が科せられます。コンピューターゲームへのレイティングシステムの導入で、大きな影響を受けるのは海外からの輸入品でしょう。中でも最も大きな問題となるのはレイティングそのものではなく、「中国語による表示」です。誰でも知っているように、台湾で販売されているコンピューターゲームのほとんどが、海外からの輸入、またはダウンロードによるものです。そしてそれらには台湾での代理店が存在しないケースがほとんどです。すなわち、この規則が施行された後、実際にレイティングを行い、適正な表示を行う責任は、輸入を行った業者にあることを意味します。適性な表示を行わない場合、改正命令、販売停止・排除処分、さらには罰金を課せられる可能性もあります。こうした法規が厳格に執行されれば、新たな貿易障壁にもなりかねません。

DGRCが主導へ

 政府がこうした規定を設けた一方で、台北市電脳公会(TCA)は11年9月に「数位遊戯分級自律推動委員会(Digital GameRating Committee,DGRC)」を設立しました。テレビゲーム、モバイルゲーム、オンラインゲームなどのゲームメーカー、販売業者、社会団体、学者らを招聘(しょうへい)して「執行委員会」を立ち上げ、レイティングシステムの推進を行っています。

 この委員会の主任こそが前述の「遊戯軟体分級管理弁法」の草案をまとめた「教授」です。そのため、実際の表示方法、表示の内容などは、この委員会が主導権を握って決定していくことになるのでしょう。

 13年からのコンピューターゲームへのレイティングシステムの導入とそれに関連した表示などの制度施行は、今や避けられないものとなりました。コンピューターゲーム関連業者の方は、余計な損害を出さないよう、この新制度に十分注意する必要があります。

徐宏昇弁護士事務所

TEL:02-2393-5620 
FAX:02-2321-3280
MAIL:hubert@hiteklaw.tw

産業時事の法律講座