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第112回 動態商標とホログラム商標の申請


ニュース 法律 作成日:2012年5月9日_記事番号:T00036984

産業時事の法律講座

第112回 動態商標とホログラム商標の申請

 新商標法が間もなく施行されるにあたり、経済部智慧財産局(以下「知的財産局」)では現在、商標法施行細則の原案をまとめ、ヒアリングを行っています。本コラム第106回「施行間近の新商標法http://www.ys-consulting.com.tw/news/35261.htmlで紹介したとおり、新商標法では「動態商標」、「全像図(ホログラム)商標」、「立体商標」など、新しいタイプの商標が新設されました。これらに対する規定は以下のようになっています。

1.顏色商標(色商標、Color Trademark):色商標は今回新設されたものではなく、これまでに商標登録されている案件も少なくありません。色商標には、特定の色を商標としたものと、特定の色の組み合わせで商標を構成するものがあります。

 色商標を申請する際には、申請書に「色商標」を申請する旨を明記し、商標の描写や、色の説明、使用される商品、サービスの状況などを明確にしなければなりません。また、破線で色を使用する商品、またはサービスの方式、位置、内容などを示すことができます。

 通常、色商標は商標審査の際「不具標示性(標示性がない)」と判断されるため、申請者はその色商標が自らの長期における使用により、色商標が申請者の商品またはサービスを代表するようになった、つまり「標示性がある」ことを証明しなければなりません。

2.声音商標(サウンドロゴ、Sound Trademark):サウンドロゴとは音の組み合わせを商標として登録するもので、色商標同様、以前からありました。

 サウンドロゴを申請する際には、申請書に「サウンドロゴ」を申請する旨を明記した上で、音の内容を五線譜または簡譜(数字譜)に表したものと文字説明を添えて申請を行います。もし五線譜または簡譜で音の組み合わせを表現することが不可能な場合は、文字による説明で音を表現しなければなりません。

 また、申請者は電子メディアによる方法で、音の組み合わせを記録したものを提供しなければなりません。知的財産局のホームページ上でサウンドロゴを検索すると、すでに登録されたサウンドロゴを視聴することができるようになっています。

3.立体商標(Three-Dimensional Mark):立体商標は本来、公平交易法で「企業表徵」として規定されていたものを、商標法で保護することになったものです。立体商標とは、ある物品の形状が、権利者の長期的かつ広範囲における使用により、消費者に「権利者の商標」として認識されたものを指します。

 立体商標を申請する際には、申請書に「立体商標」を申請する旨を明記した上で、6件以下の図案で立体商標を表現しなければなりません。破線で立体形状を使用する商品、またはサービスの方式、位置、内容などを示すこともできます。また、文字による描写で、立体の形状を説明しなければなりません。商標が立体形状以外の要素を含んでいる場合も説明が必要です。

 立体商標は主に物品の形状を指しているため、色商標同様「標示性」が低いと判断されがちです。そのため、申請の際には長期的かつ広範囲における使用により「標示性」を得るに至ったことを証明する必要があります。

4.動態商標(Motion Marks):動態商標とは、動画など、連続する映像の組み合わせで構成された商標を指します。

 動態商標を申請する際には、申請書に「動態商標」を申請する旨を明記した上で、6件以下の静止画で動態映像の変化過程を表現しなければなりません。また、文字による描写で、動態映像の変化過程を表現しなければなりません。

 また、申請者は電子メディアによる方法で、動態商標を記録したものを提供しなければなりません。この規程から察するに、将来、知的財産局のホームページ上で動態商標を検索すると、すでに登録された動態商標を視聴することができるようになるのでしょう。

5.全像図商標(ホログラム:Hologram Marks):ホログラム商標の特徴は、見る角度によって異なる図案を表現する点です。

 ホログラム商標を申請する際には、申請書に「ホログラム商標」を申請する旨を明記した上で4件以下の図案でホログラムの内容を表現しなければなりません。また、文字による供述で、見る角度によるホログラムの画像の違いの変化を表現しなければなりません。

侵害の認定、規定なし

 知的財産局は、以上のような商標法施行細則をもとに、これらの商標の申請を受け入れる準備をしていますが、新商標法、施行細則共に、商標の侵害をどのように認定するかについての規定は設けられていません。つまり、将来これらの商標の登録が行われた後、権利者が模造品の取り締まりを行う場合、法の不備により、権利の主張が難しくなる恐れがあります。

 そこで、これらの商標を申請する場合には、以下の点について十分に注意する必要があるでしょう。

1.商標の申請時には、文字による説明を提供しなければなりませんが、「説明」はそのまま将来「商標権範囲」認定の根拠となってしまいます。つまり、説明が細ければ細かいほど、商標権の範囲は狭く認定されてしまう可能性があります。したがって、文字による説明は必要最小限のものにとどめておいた方がよいでしょう。

2.これらの商標はどれも「標示性」が低いため、登録を行ったとしてもそれがそのまま権利を生むとは限りません。したがって、たとえ登録が可能な場合でも、まず現状を維持し、それらの商標をより長期的かつ広範囲に使用し続けることで、商標権の存在を確保することが大切です。 

徐宏昇弁護士事務所

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