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第40回 台湾における移転価格税制の概要について


ニュース その他分野 作成日:2012年5月16日_記事番号:T00037114

KPMG 分かる台湾会計

第40回 台湾における移転価格税制の概要について

 5月も中旬に入り、多くの企業では、営利事業所得税の申告期限に向けての対応にお忙しいことと思います。また、この申告と同時に、移転価格報告書などの準備が必要となるケースも多いと思われます。そこで今回は、台湾における移転価格税制の概要について取り上げたいと思います。

【今回のポイント】

・台湾では、2004年に移転価格税制が導入され、05年には移転価格文書化の規定が設けられました。
・台湾における「関連者」の範囲には、台湾域内の関連会社なども含まれることに留意する必要があります。

(1)「移転価格税制」の背景と趣旨
 台湾企業の中国進出が加速し、本来台湾企業で計上される課税所得が中国に移動してしまったため、当時の台湾政府は深刻な税収不足に陥りました。そこで、台湾政府は、諸外国の移転価格税制を参考にして本格的に移転価格税制を取り入れ、台湾企業に対して「独立企業間取引の原則」を根拠とした課税に本格的に取り組むこととなりました。

 04年1月には、「営利事業所得税監査基準」の第114条ノ1において移転価格に関する規定を新設し、続いて04年12月に「営利事業所得税非独立企業間移転価格監査準則(以下、移転価格監査準則)」を公布しました。

 また、05年12月には、移転価格に関する開示および文書化の義務化に関する指針が発表され、一定条件に該当した場合には税務申告書別表で関連会社間取引について記載するとともに、いわゆる「移転価格報告書」や「移転価格報告書を代替する書類」を作成し、さらに、会計士の税務監査が義務付けられるという、厳しい措置が設けられました。その後、08年11月に新しい通達が公表され、適用基準は一部緩和されています。

(2)関連者の範囲(移転価格監査準則第3条・4条)

「関連者」とは、原則として、移転価格監査準則第3条における支配従属関係にある関連会社などをいい、移転価格の申告に際しては、基本的にこの「関連者」との取引を申告書上で開示する必要があります。

 なお、台湾では「国外関連者」という概念がない点に注意が必要です。すなわち、台湾域内の関連会社なども「関連者」に含まれ、申告の際には域外の関連者だけでなく台湾域内の関連者との取引も申告する必要があります。

(3)移転価格の算定方法(移転価格監査準則第10条)

 移転価格監査準則では、以下のa~cのような移転価格算定方法の基本3法を規定しているほか、それ以外の例外的計算方法(d~f)についても規定しています。a.独立価格比準法(CUP)、b.再販売価格基準法(RPM)、c.原価基準法(CPLM)、d.利益比準法(CPM)、e.利益分割法(PSM)、f.その他財政部が定める合理的取引結果を決定する方法

 今回取り上げました内容につきまして、本稿をご参考いただき、詳細につきましては顧問会計事務所にもお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所 日本業務組

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