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記事番号:T00041232
2012年12月26日15:27

 12月17日に開催された全国科学技術会議において、行政院国家科学委員会(国科会)の朱敬一主任委員は「台湾は多くの特許権を産出しており、人口100万人当たりの特許保有数は世界一だが、2011年度の商標権を含むライセンスフィーは、対外支払いが58億米ドルである一方、対外収入はわずか8億米ドルで、対外赤字が50億米ドルに達している。そのため、国科会では、国内メーカーのために特許防衛網を張り巡らす予定だ」と発言しました。それに対してファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は「国科会は特許防衛網を張り巡らすと言っているが、現実味がない。国内メーカーにとっては、他社の『特許地雷』を踏まないだけでも万歳だ」と述べました。

 特許とは「イノベーション」技術を保護するもので、イノベーションがない技術は、特許を得ることはできません。この点については皆さんも異論はないと思います。しかし、実際は法律制度の設計上、イノベーションがなくても特許を取得することができます。例えば、先進国では「小発明」として扱われている「実用新案」は、申請数が多い割には権利行使が行われることが少ないため、特許の有効性の審査は裁判所に任され、申請段階では形式審査制度が導入されています。このような現状が、台湾ではメーカーがイノベーションのない技術で特許を取得する方法として利用されています。

特許の生産過剰

 特許の量は多いのに、権利金を取れるだけの価値がないという状態は、経済学でいう「過剰生産能力」、つまり「作ったものが売れない」という状態です。現在、中国は、実際に生産した製品が売れ残っているという問題を抱えていますが、中国共産党第18次全国代表大会の決議文は、この問題に対して「市場経済(社会主義的市場経済)による解決を図り、国は関与を行わないが、結果については国が責任を負う」と表明しました。中国のこのような政策に対して、台湾の国科会は、特許の「過剰生産」問題を政府による干渉で解決しようとしています。

 「ライセンスフィーの収支」を「特許の価値」として判断する国科会の方法は、賛同できるものです。これはつまり、特許を製品ではなく、サービスの一つと考え、ライセンスフィーを特許の価値として判断しているわけです。

 これまで、台湾メーカーは知的財産権を尊重せず海外から非難を浴びていましたが、その後、メーカーはこぞって特許を申請し、現在では世界でも有数の特許保有国となりました。さらにここ数年は、いわゆる「無形資産評価システム」を発展させ、特許権の価値の評価や、証明を行うまでになりましたが、現在までのところ業界一致の評価基準を確立するには至っていません。ある無形資産評価に関するシンポジウムでは、多くの有識者が特許の評価を「宗教」「芸術」と形容する始末です。

 もし特許をサービスとするならば、メーカーが取得した特許は「金儲けの道具」であり、その価値は同業者による利用、または利用可能な回数となります。つまり、同業者が利用しない特許は「閒置資産(使われていない資産)」となり、評価すべき価値もないものとなります。

 国内メーカーの特許の質が高くないことに対して、国科会が行うべき政策は、メーカーによるイノベーション技術の研究開発(R&D)を刺激することです。先進国と発展途上国の間に挟まれている台湾メーカーが確固たる地位を築けるよう、現在国内にその基礎技術、先進技術力がない現実を踏まえ、メーカーが現在持っている技術を先進技術につなげるための指導が必要です。

徐宏昇弁護士事務所

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