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12年10大ニュース!(2~3位)


ニュース その他分野 作成日:2012年12月28日_記事番号:T00041289

月間5大ニュース

12年10大ニュース!(2~3位)

【2位】尖閣国有化で日本に抗議、争議棚上げ主張も蚊帳の外

 日本政府が9月、尖閣諸島(沖縄県石垣市、台湾名・釣魚台列嶼)の国有化を決定したことに対し、かねてから尖閣への主権を主張してきた台湾でも抗議活動が活発化した。


台湾と中国が尖閣の領有権を主張し始めたのは1971年になってからだが、「尖閣は日本に奪われた固有の領土」との認識だ(YSN)

 政府は国有化決定を受けて直ちに沈斯淳・駐日代表を召還し、強い抗議の意思を示した。同月25日には宜蘭県の漁船40隻と行政院海洋巡防署(海巡署)の巡視船8隻が魚釣島の領海に侵入。日本の海上保安庁の巡視船との間で放水合戦を繰り広げ、尖閣問題における台湾の存在を世界にアピールした。これに先立つ23日には台北市で、中華民国原則派を中心に初の大型抗議デモが行われ、1,000人以上の参加者を集めた。

 一方、馬総統は8月、紛争を棚上げして資源の共同開発を行うことを提案(東シナ海イニシアチブ)するなど、平和的解決を求める考えを再三アピールした。ただ、巡視船や航空機による領海・領空侵犯を繰り返し、日本による実効支配を実力で揺さぶろうとする中国に比べ台湾は影が薄く、事実上「蚊帳の外」に置かれた。

 尖閣問題に対する抗議活動も10月以降は沈静化していく。反日抗議デモが暴徒化し、日系の百貨店、工場などが襲撃された中国に比べ、台湾では邦人の被害情報が一切なく、社会の成熟度の違いを見せた。
日台は尖閣周辺での漁業権に関する交渉再開を意図しており、日本は尖閣問題での中台連携を防ぐべく、来年以降、積極的に交渉に当たるとの観測も出ている。

【3位】鴻海とシャープ提携、大型テレビ旋風起こす

 EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)とシャープの日台大手が提携で合意した。3月27日の発表に基づき、鴻海は堺工場と呼ばれたシャープディスプレイプロダクト(SDP、堺ディスプレイプロダクトに改称)に489億6,000万円(37.61%)を出資してシャープと並ぶ筆頭株主に浮上、11月には同工場で生産した60インチ液晶パネルを搭載した高画質テレビを中華電信などと通信契約を結ぶ条件付きで3万8,800台湾元で発売して人気を博し、台湾市場に低価格大型テレビブームを巻き起こした。パネル設備稼働率の向上だけでなく、大型テレビの需要喚起に成功し、中国家電ブランドや米小売ブランドからの受注も得て新たなビジネスモデルを創出した。


シャープは多額の負債を抱えており、時間は郭董事長にとって有利との指摘もある(中央社)

 一方、鴻海はシャープ本体にも1株550円で9.88%、総額669億円出資するはずが、遅々として実行せず、シャープの株価が200円を割り込んだ8月に出資条件の見直し交渉を行っていることを両社が認めた。9月には郭台銘鴻海董事長がシャープ経営への参画に強い意欲を公にしたが、シャープはこれに難色を示していると伝えられる。そうした中、シャープは12月にクアルコムからの5%出資受け入れを発表。これに伴い、鴻海とシャープの資本提携がまとまるかは微妙といった観測が出た一方、郭董事長はクアルコムの出資は鴻海・シャープの提携に有利と発言した。

 ガラパゴス化で苦境に陥った日本家電メーカーを台湾企業が救済するという、従来の常識を覆す日台大型提携は、株式譲渡期間である来年3月26日までに成否が明らかになる。

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