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12年10大ニュース!(1位)


ニュース その他分野 作成日:2012年12月28日_記事番号:T00041290

月間5大ニュース

12年10大ニュース!(1位)

【1位】不況下で相次ぐ負担増、馬政権の人気急落

 馬英九総統(62歳)は今年1月に再選を果たし2期目を迎えたものの、ガソリン・電気料金の値上げ、証券取引所得税(キャピタルゲイン課税)の導入決定を行い、深刻な不況の中で市民に負担を強いたことで人気が急落した。


財政再建を目指す馬総統は市民生活への配慮を欠いた。そこには選挙で大勝したおごりがあったのではないか(中央社)

 年明け早々の1月14日行われた総統選挙では、馬氏は対立候補の民進党主席、蔡英文氏を予想を上回る80万票差で破って再選を果たした。海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)に代表される、安定した対中関係の下で経済発展を模索する方針が評価された。蔡氏は、民進党が政権に復帰した場合、対中関係が不安定化するという懸念を払拭(ふっしょく)できなかった。

「経済内閣」が発足

 馬総統は2月、内閣改造を実行し、財政・金融分野で要職を歴任してきた陳冲氏(63歳)を政権3代目の行政院長に据えた。内外の厳しい経済情勢への対応や、財政再建、産業構造の改革に当たることを狙いとした。

 陳内閣が最初に手を付けたのはガソリン価格と電力料金の値上げだった。ガソリン価格は4月、平均1割上昇。直後に5月より電力料金を平均16.9%値上げすると発表したため、産業界や市民から激しい反発が起きた。この結果、値上げ幅の縮小や、6月から3段階に分けて実施することなど大幅な見直しを余儀なくされ、しかも10月には12月に予定していた2回目の値上げを来年10月に延期した。

 また、3月下旬より個人投資家を対象とする証券取引所得税(キャピタルゲイン課税)導入に向けた議論を進め、株式市場の急落を招いた。株価は年末の一時期を除いて不安定な値動きが続き、個人投資家のマインドに悪影響を与えた。キャピタルゲイン課税は証券業界などからの反対論を受けて、課税対象を400万台湾元以上の株式譲渡益に限定することが決まった。

 なお、馬政権では国民党の若手ホープとして期待されていた林益世秘書長が6,300万元の収賄疑惑で逮捕・起訴され、これまで保ってきた清廉イメージに傷が付いた。

「無能」報道に共感、背景にいらだち

 11月中旬、英エコノミスト誌が「Ma the bumbler」と題する記事を掲載し、当初「無能な馬英九」と訳されて多大な反響を呼んだ。台湾は10年以上にわたって賃金水準が改善せず、若年層の就業困難が深刻化する一方で地価は高止まりしており、一向に改善しない民生に対するいらだちが馬政権への不満という形で反映したとみられる。馬政権は財政再建とともに、景気面での目に見える成果という難しい宿題を背負ったまま年を越すこととなった。 

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