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第51回  寄付金の税務上の取り扱いについて


ニュース その他分野 作成日:2013年4月17日_記事番号:T00043143

KPMG 分かる台湾会計

第51回  寄付金の税務上の取り扱いについて

  東日本大震災から2年が経過した先月27日、台湾でも南投県を震源とした大規模地震が発生しました。東日本大震災では、台湾から多額の義援金が寄せられたことは記憶に新しいことと思います。そこで、今回は寄付金の税務上の取り扱いについて取り上げたいと思います。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。

【今回のポイント】

・寄付金は、税務上、全額が損金に認められる訳ではありません。個人所得税および営利事業所得税(法人税)上、損金への算入限度額があります。

・政府系機関への寄付金は、その全額を損金に算入することが認められます。

・政府系機関以外への寄付金については、個人所得税および営利事業所得税の計算上、一定の損金算入限度額が設けられています。

1.寄付金

 寄付を行った金額は、会社経理上は費用となりますが、税務上は無条件に費用と認められる訳ではありません。その理由としては、税務上は課税負担の公平性が重視されますが、公平性の観点から、寄付金が各企業の事業活動(または個人の生活)にとって必要かどうか(税務上の損金として妥当かどうか)の判断が困難であることが挙げられます。そこで、寄付金については全額を損金算入可能とするのではなく、一定の限度を設けて損金算入を認めることとされたものと考えられます。

2.個人所得税の計算における寄付金

 国防、軍隊の慰問に係る寄付金や政府に対する寄付金は無制限に控除することができます。また、教育、文化、公益、慈善事業または団体に対する寄付金は所得額の20%を限度として控除することができます。なお、個人所得税の所得控除の計算上、定額控除を採用する場合は、実際の寄付金額に関係なく、一定額が控除されます。

3.営利事業所得税(法人税)の計算における寄付金

 営利事業所得税の計算上も基本的には個人所得税の計算の考え方と同様です。政府系機関に対する寄付金は全額損金算入可能とされ、それ以外の寄付金には限度額が設けられています。

4.政府系機関などへの寄付金

 政府系機関などへの寄付金は全額が損金算入可能ですが、その内容としては、内政部が中央銀行国庫局に開設した専用口座、郵便振替口座、各県市政府が設置した義援金専用口座などへの寄付が含まれます。また、金融機関でない政府機関以外の団体(慈善団体など)が設置した災害義援金専用口座への寄付で、当該団体から政府機関へ引き渡されたものについても、政府への寄付と見なされます。ただし、当該団体から政府機関でない教育、文化、公益、慈善機関や団体などへ引き渡された寄付については、各当該機関・団体への寄付と見なされます。

 寄付金の支出をお考えの会社におかれましては、顧問の会計事務所などにも相談しながら、税務上の影響についてもご検討されることをお勧めいたします。

 本件の概要などにつきまして本稿をご参考いただきますとともに、詳細につきましては顧問会計事務所にもお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所 日本業務組
Mail:yoshikazumatsumoto1@kpmg.com.tw
TEL:886−2−8101−6666
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松本 芳和(内線12645)
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