ニュース その他分野 作成日:2013年7月17日_記事番号:T00044797
KPMG 分かる台湾会計今回は2013年6月11日に財政部より公表された、技術を対象とする現物出資の審査に関する通達(台財税字第10204568550号)について取り上げたいと思います。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。
【今回のポイント】
・技術を対象とした現物出資により株式を取得した場合、当該現物出資により得られた株式は財産取引所得に当たり、所得税が課税されてきました。
・今回の通達の公表により、13年1月1日以降、政府からの助成、委託、出資等を受けて実施された研究開発により取得した重要な革新的技術により、非上場会社、非店頭登録会社あるいは非エマージング会社に現物出資して株式を取得した場合、研究の助成を行った機関が証明書類に基づいて審査を行った上で、税務上、関連費用が財産取引所得の原価として認定されることになりました。
株式会社への出資の対象となる財産は、現金のほか、金銭債権や技術をもって充てることができるとされています(会社法第156条)。従って、技術を対象とする現物出資は会社法において認められており、実際に特許権や専門技術等により株式会社へ出資し、経済部の許可および登記を申請することができます。
このような技術を対象とする現物出資により株式を取得する取引について、03年12月31日以前は税務上特別な規定はなく、現物出資行為だけでは現物出資者には所得は発生していないと考えられていました。しかし、その後財政部より台財税第0920455312号通達が公表され、04年1月1日以降、技術等の無形資産を対象とする現物出資取引に対して財産取引所得が認定されることとなりました。すなわち、無形資産を対象とする現物出資取引においては、増加する資本額に対して当該無形資産の取得原価を超える部分があれば、当該超過部分が財産取引所得とみなされ、課税対象に当たることとされました。また、当該現物出資に係る所得計算が未申告またはその計算根拠書類を提出できない場合、当該取引に係る取得原価は、出資により増加した資本額の30%とみなされた上でみなし所得が計算され、課税されることとなりました。
台湾経済は、現在もさまざまな革新的事業を発展させる必要性を有しており、重要な特許や技術の有効利用が期待されています。また、無形資産の現物出資により、革新的技術を有する企業とそのような技術への需要を有する企業との協業関係を促進できれば、台湾において新技術をより高度に活用した経済発展を期待することができると考えられます。他方、これまで技術等の無形資産を対象とする現物出資取引に対しては、出資による増加資本額の最大70%に対して課税されることとされていました。そこで、財政部はこのような状況を鑑み、新たな通達を公表し、企業への技術等の無形資産による現物出資については、(技術による現物出資について財産取引所得があるという認定に変更はないものの)一定の条件の下、財産取引所得計算における優遇措置を設けたものと考えられます。
なお、今回発表された通達および関連通達については以下をご参照ください。
財政部2013年6月11日台財税字
第10204568550号通達
2013年1月1日より、法人等が政府からの助成、委託、出資、もしくは法により科学技術の研究開発予算の作成を受け、研究開発を行い取得した将来性または重要性を有する革新技術をもって、非上場会社、非店頭登録会社あるいは非エマージング会社に現物出資し、株式を取得した場合、本部03年10月1日付台財税字第0920455312号通達の規定に基づき当該現物出資による財産取引所得を計算する際に、研究の助成を行った機関が審査を開催し、関連のコスト費用の証明書類に基づいて事実を調査し、認定することができる。
財政部921001台財稅
第0920455312号通達
04年1月1日より、法人等が技術などの無形資産をもって現物出資した場合、増加する資本額に当該無形資産の取得原価を超える部分があれば、当該超過部分は財産取引所得とみなされ、株主が所得税法の規定に基づき所得税を申告納付する必要がある。
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