ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第56回 8月15日国税局プレスリリースについて


ニュース その他分野 作成日:2013年10月16日_記事番号:T00046421

KPMG 分かる台湾会計

第56回 8月15日国税局プレスリリースについて

 今回の【KPMG分かる台湾会計】では、8月15日に台湾国税局より提示された「産業促進条例に基づく研究開発支出の投資税額控除の申請」および「輸出損失の計上要件」に関するプレスリリースについて取り上げたいと思います。いずれも法令などの改正ではありませんが、営利事業所得税の国税調査においてよく指摘される項目として国税局より公表されています。読者の皆さまにおかれましてもご留意いただければ幸甚です。

 なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。

【今回のポイント】
・産業促進条例第10条に基づき、企業が研究開発支出の投資税額控除の適用を受けるためには、当年度の研究開発活動が研究開発または革新活動に該当することについての中央主務機関による認定を受ける必要があります。

・税務上、「輸出損失」の損金算入に当たっては、所定の必要書類を提出した上で国税局による認定を受ける必要があります。

革新性も条件に

1.産業促進条例に基づく研究開発支出の投資税額控除の申請

 産業促進条例第10条に基づき、企業が研究開発支出の投資税額控除の適用を受けるためには、当年度の研究開発活動が研究開発または革新活動に該当することについての中央主務機関による認定を受ける必要があります。また、適用申請は確定申告期限の3カ月前から申告期限までの間に行う必要があります(注1)。当該認定が得られない場合、産業促進条例第10条に基づく研究開発支出に係る投資税額控除の適用は受けられません。

 なお、申請の対象となる研究開発活動は革新性を有する必要があります。例えば、顧客のニーズに合わせるために行われ、国内の他社にも同様の製品に関する研究開発の実績がある場合、このような研究開発活動は高度な革新性を有さず、産業促進条例所定の租税優遇の対象に該当しないと判断されることがあります。

(注1)12月決算の会社の場合、2013年の研究開発支出の申請期間は14年2月から5月まで

2.輸出損失の計上要件

 「輸出損失」とは、輸出事業を経営する営利事業者に関して、売買契約の解除または変更に伴って生じる損失あるいは収入の減少、契約違反による損害の賠償、不可抗力によって発生する想定外の損失、もしくは運送途中において発生する損害の賠償等によって発生した損失等を言います。税務上、輸出損失の損金算入に当たっては、所定の必要書類を提出した上で国税局による認定を受ける必要があります。(注1)

(1)輸出損失の認定に必要な書類

 輸出損失の認定には、売買契約書(注2)および国外業者等から入手した損害賠償に関する書類を提出する必要があります。なお、1取引の輸出損失の金額が50万台湾元以上の取引については、国外の公証機関または検査機関が発行した認証も必要となります。

(2)輸出損失が否認された事例

 国税局より輸出損失の認定が否認された具体例が提示されています。

 X社は2011年度の法人税申告において、その輸出事業に関連して約1,500万元の輸出損失を申告した。

 X社は国外のA社から注文を受け、同じく国外のB社へ発注し、物品はB社から直接A社へ運送する形態の輸出取引を行っていた。しかし、X社はA社より品質の瑕疵を原因とする損害賠償請求を受けた。

 国税局が調査したところ、売買契約書においてはX社には物品瑕疵の担保責任はない旨記載されていた。このことから当該損失はX社の負担となるものではないと判断され、当該輸出損失は損金不算入とされた。なお、当該取引に係る輸出損失額は50万元以上に達するため、X社は国外の公証機関が発行した認証書類についても取得する必要がある。

(注1)営利事業者が負担すべきでない部分や保険による保障を受けた部分は損金不算入とされます。
(注2)契約書には売買条件および損害発生時の責任負担の記載が必要です。

 本件の概要などにつきまして本稿をご参考いただきますとともに、詳細につきましては顧問会計事務所にもお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所 日本業務組
Mail:kota1@kpmg.com.tw

TEL:886−2−8101−6666
松本 芳和(内線12645)
太田 耕蔵(内線13390) 

KPMG 分かる台湾会計