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第55回 個人の証券取引所得に係る「所得税法」の改正


ニュース その他分野 作成日:2013年8月21日_記事番号:T00045442

KPMG 分かる台湾会計

第55回 個人の証券取引所得に係る「所得税法」の改正

 今回は、6月25日に立法院にて可決された、個人の証券取引所得に係る「所得税法」の改正について取り上げたいと思います。証券取引所得課税(キャピタルゲイン課税)については、本年1月1日より新制度が施行されていましたが、計算の複雑さ等に対して多方面から不満が上がり、今回の改正案の可決に至ったと考えられます。なお、改正法の施行は本年1月1日にさかのぼって施行されます。

 なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。

【今回のポイント】
・2013年度および14年度における年間売却価額が10億台湾元を超えない上場株式の譲渡による証券取引所得課税の計算に関して、台湾証券取引所株価指数に基づくみなし課税規定が修正され、所得は一律ゼロとみなされ、税負担が減免されたこと。

・15年度以降の10億元を超える上場株式の譲渡による証券取引所得課税の計算については、実額課税方式から、みなし所得課税方式を主たる方式とし、実額課税方式を補助的方式とする税額計算の簡素化が行われたこと。

(1)対象証券(株式)の属性

 今回、所得税法が改正され、大部分の個人の証券取引所得課税が減免されることになりますが、減免の対象となる証券取引所得の属性は下記のEです(A、B、C、Dの所得については、変更はありません)。

A 13年度以後にIPO(株式公開)した株式の売却による所得(引き受けによる取得株式数が1万株以下の場合を含まない)
B 年間売却株式数が10万株以上となるエマージング株式の売却による所得
C 非居住者(中華民国国内に居住していない個人)の株式売却による所得
D 非上場・非店頭公開の株式の売却による所得
E 上記以外の株式の売却による所得

(2)13年および14年度における証券取引所得

 上記(1)の「E」の所得のうち、13年および14年度における証券取引所得については、現行の証券取引所得課税制度では、台湾証券取引所の株価指数に基づく「みなし所得課税」が適用されることとされていましたが(株価指数が8,500ポイントを超えた場合に、証券取引所得が発生したものとみなして課税するとされた制度)、今回の改正により、所得額は一律ゼロとみなされることとなります。

(3)15年度以降での証券取引所得

 上記(1)の「E」の所得のうち、15年度以降の年間売却額が10億元以上となる場合、現行の制度では、「実額課税方式」によることとされていましたが、今回の改正により、「みなし所得課税方式を主たる方式とし、実額課税方式を補助的方式」とする所得計算の簡素化が行われています。具体的な税額計算は下記の通りです。

(注)
15年以降の年間株式売却額が10億元を超える場合、原則としてみなし課税方式によって課税額が計算されます。ただし、納税義務者の選択により、実額課税方式による課税額を計算するとともに、長期保有に係る優遇規定の適用を申請することも可能です。なお、長期保有優遇とは、保有期間が満1年以上の証券について、証券取引所得の1/2を所得額とみなし、IPO前に取得した株式をIPO後において引き続き3年間以上保有する場合は1/4を所得額とみなして課税する優遇制度です。

(4)まとめ

 なお、営利事業者の証券取引所得に対する課税方法には変更はなく、所得基本税額条例の規定に基づく最低税額が徴収されます。

 本件の概要などにつきまして本稿をご参考いただきますとともに、詳細につきましては顧問会計事務所にもお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所 日本業務組
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