ニュース その他分野 作成日:2013年12月18日_記事番号:T00047665
KPMG 分かる台湾会計今回の【KPMG分かる台湾会計】では、去る10月8日・11日に財政部国税局より公表されたプレスリリースから、「違約金、賠償金の受領と統一発票の発行」および「支払コミッションの取引事実」について取り上げたいと思います。いずれも法令などの改正ではありませんが、営利事業所得税の国税調査においてよく指摘される項目として国税局より公表されています。読者の皆さまにおかれましてもご留意いただければ幸甚です。
【今回のポイント】
・企業が営業取引において受領する違約金や賠償金についても営業税の課税対象となる場合があります。
・コミッションを支払う場合の支払コミッションの損金算入要件として、代理人や仲介業者から実際に役務が提供された事実を提示できることが必要です。
なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。
(1)違約金、賠償金の受領と統一発票の発行について(10月8日公表)
台湾では、企業が営業取引において受領する違約金や賠償金(以下、違約金など)についても営業税の課税対象となる場合があります。
営業税は、台湾域内における物品の販売、役務の提供および物品の輸入取引を対象として課税されます(付加価値型および非付加価値型営業税法第1条および第16条。同法は以下、営業税法)。ただし、営業税の対象となる売り上げとは、営業者が物品を販売または役務を提供して受領した全ての対価とされ、営業者が物品または役務の代価以外で受け取った一切の収入を含むとされています。
従って、違約金などによる収入が営業税の課税対象に当たるか否かについては、当該違約金などが物品の販売や役務の提供に伴い、提供者が受領した違約金などに当たるか否かによって判断します。
(具体例)
例えば、営業者Aが物品を販売し、買受人Bの支払遅延に対して違約金を請求する場合、当該違約金は売主である営業者が受け取った販売または役務を提供して受領した対価に該当するため、営業税の課税対象となり(営業税法第16条)、Aは統一発票を発行する必要があります。
他方、売主たるAが契約に違反し、Bへ賠償金を支払う場合、当該賠償金は売主たる営業者が受領する販売または役務を提供して受領した対価に当たらず、営業税の課税対象には該当しません。従って、Bは賠償金の受領に関して、Aに統一発票を発行する必要はありません。
違約金などによる収入が営業税の課税対象に当たるか否かについては、当該違約金などが、物品や役務の提供者が受領するものか否かによって判断します。物品や役務の提供者が受領する違約金などは、法令の規定に基づき、統一発票を発行し、営業税を申告納付する必要があります。
他方、違約金などが、物品や役務の提供者が受領する違約金などではない場合、営業税の課税範囲に属しません。
(2)支払コミッションの取引事実について(10月11日公表)
コミッションとは、販売の仲介や代理などの役務に対して支払われる報酬を指します。コミッションを支払う場合の損金算入要件として、代理人や仲介業者から実際に役務が提供された事実を提示できることが必要です。代理や仲介などの役務提供の事実を示すことができない場合、契約書や費用の支払証明などの形式的外観があったとしても、取引実態のない支出として損金経理は認められません。
(具体例)
例えば、法人所得税申告に関わる国税調査において、コミッション支出を計上する企業は、当該支出に関わる契約や預金振込などの証明を提示するだけでは足りず、コミッションの対象となる役務や仲介などの提供を実際に受けたことを示す資料を提出する必要があります。
営利事業所得税調査準則上、「コミッション支出は契約または仲介事実を証明できるその他書類の提出により認定する」旨、規定されています(同第92条)。
企業は販売代理業者などと仲介契約を締結する場合、企業と代理業者などとの間での往復書類を適切に保管し、契約書などの情報と併せてコミッション支出の証明として提出する必要があります。
本件につきましては本稿をご参考いただきますとともに、詳細につきましては顧問会計事務所にもお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。
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