ニュース その他分野 作成日:2014年5月21日_記事番号:T00050441
KPMG 分かる台湾会計既にお聞き及びの方もいらっしゃると思われますが、先週16日、所得税法の改正案が立法院で可決されました。本改正案では、配当に伴う源泉税から控除できる過去の未処分利益課税額を減額する内容が含まれており、多くの日系企業にも影響があると考えられます。今回の本コラムでは、本改正案の内容についてご紹介したいと思います。
(1)台湾内個人株主の両税合一における控除可能税額の変更など
台湾内に居住する個人株主が台湾企業から配当を受け取る場合、個人所得税申告の際に一定の計算式によって算定された金額(控除可能税額)を個人所得税額から控除できるとされています(両税合一)。今回の改正案では、当該計算式で算定された控除可能税額のうち、個人所得税から控除できる金額を従前の半額とすることとされています。
他方、台湾企業から非居住者(海外)株主への配当については、当該配当の源泉となる利益が過去に10%の未処分利益課税の対象となった利益である場合、過去の未処分利益課税額の一定額を台湾での源泉所得税額から控除することができるとされています。今回の改正案では、台湾内株主との課税の公平性の観点から、非居住者株主への配当に係る源泉所得税からの控除額について、従前の半分とするとする改正が含まれています(所得税法改正案第66条の4、第66条の6および第73条の2)。
(2)個人所得税の累進最高税率を45%へ引き上げ
現在、個人所得税には5段階の累進税率の区分がありますが、改正案では現行の5段階に加え、所得純額1,000万台湾元以上を6段階目の区分として新設し、45%の税率を適用することとされています(所得税法改正案第5条)。
(3)給与所得特別控除額および障害者特別控除額をそれぞれ2万元引き上げ
現在、給与所得特別控除額および障害者特別控除額は毎年1人当たり10万元ですが、近年の物価指数の上昇に合わせ、改正案は2つの所得控除額をそれぞれ2万元引き上げ、毎年1人当たり所得控除額を12万8,000元とするとされています(所得税法改正案第17条)。
(4)改正案の施行日
所得税法改正案では、上記(1)(第66条の4、第66条の6および第73条の2)に係る部分については、2015年1月1日に施行されます。(2)以外の改正案については、2015年度より施行される予定です(所得税法改正案第126条)。
上記のうち、「(1)台湾内個人株主の両税合一における控除可能税額の変更など」における海外株主の源泉所得税額からの控除可能額の減額は、日系企業を含め、多くの既存株主の利益に影響を与える改正内容です。短期的な株主利益の観点からすれば、2014年末までにその未処分利益を分配することが有利になると考えられます。
2015年1月1日以降に配当を行う場合、過去に納付された未処分利益課税のうち、源泉所得税額から控除できる金額はその2分の1とされます。
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