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第68回 移転価格調査案件の選定について


ニュース その他分野 作成日:2014年10月15日_記事番号:T00053234

KPMG 分かる台湾会計

第68回 移転価格調査案件の選定について

 昨今、台湾国税当局による企業の移転価格に関する調査は厳しさを増していると言われています。台湾における日系企業の皆さまにおかれましては2013年度の税務申告はおおむね完了されていると思われますが、去る10月1日より13年度申告案件を対象とする移転価格調査対象の選定が開始されています。

 移転価格調査案件として抽出される場合、約3割(注1)の確率で追加調査を受け、追加調査を受けた申告案件の約5割(同)が移転価格上の更正を受け、追加納税を強いられるという調査結果が得られています。

(注1)09年度から11年度の調査案件を対象とした弊事務所調べ。

 今回は移転価格調査案件の対象選定について解説したいと思います。

調査対象選定のポイント

 調査対象として抽出されるのは一定の状況が見られる案件ですが、国税当局によれば、およそ下記のいずれかの状況が見られる場合は優先的に抽出される可能性があります。

1)各段階利益率が同業他社と比べて低い

2)台湾企業が属する企業グループの台湾外での利益水準に比べ、台湾における当該台湾企業の利益が不当に低いあるいは欠損を計上している

3)申告対象年度を含む前連続3申告年度において、申告した利益に不規則で大きな変動がある

4)申告書上の関係会社間取引の開示が不適切

5)租税回避地(タックスヘイブン)に所在する関係会社との取引が多く、その金額が多額

6)そのほか独立企業間取引ルールに反する行為により、納税義務を不当に回避する行為が認められる

 例えば3)の損益の変動は通常、事業環境の変化に起因して起こりますが、国税当局の視点では、関係会社間取引における取引価格の操作による課税の回避として疑われる可能性もあります。また6)のそのほかに挙げられる理由としては、申告義務者である台湾企業がその関係会社に対して役務の提供や無形資産の貸与を行う場合に合理的な対価を得ていないといった事由が挙げられます。

 また、移転価格調査対象に選定された場合、移転価格報告書など(代替文書含む)の提出を求められますが、上記のような国税当局の疑義に対して、自社の関係会社間取引が独立企業間取引ルールにのっとっており、不公正な操作がされていないことを疎明する必要があります。そのためには、移転価格報告書においては関係会社間取引の様態、企業グループにおける各関係会社がそれぞれ有する機能および負担するリスクなどを踏まえ、合理的な分析を行う必要があります。

 本件に係る詳細な情報につきましては、顧問会計事務所等にお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
日本業務組
Mail:kota1@kpmg.com.tw
TEL: 886-2-8101-6666
太田耕蔵(内線13390)
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