ニュース その他分野 作成日:2014年7月16日_記事番号:T00051553
KPMG 分かる台湾会計5月20日、「中小企業発展条例」の修正が立法院(日本の国会に相当)で可決されました。本条例は、中小企業の研究開発などを促進することを目的とする租税優遇措置ですが、台湾に進出する日系企業の中にも中小企業に当たる会社はある可能性がございますので、今回の本コラムでは、中小企業発展条例の改正についてご紹介したいと思います。
1.概要
本改正は、中小企業の研究開発イノベーションを奨励するに当たり、現行の産業創新条例の適用条件が比較的厳しい状況に鑑み、中小企業の研究開発イノベーションに関する租税優遇の修正、技術などの現物出資時の課税猶予措置および従業員の増員に係る優遇措置が追加されました。なお、本条例と産業創新条例とに同質の租税優遇制度がある場合に租税優遇の重複適用は認められず、中小企業はいずれかひとつを適用することができるとされています。
(注)
1.中小企業とは、「資本金が8,000万台湾元以下の製造業、建設業、鉱業および土石採取業に属する企業、並びに前述以外の業種の場合、前事業年度の営業収益が1億元以下の企業」とされている(中小企業認定標準第2条)。
2.産業創新条例に基づき中小企業が申請できる従業員増員に係る補助金の支給対象人数は、当該補助金が支給される前月の労工保険加入人数の3割を上限とされる。ただし、中小企業の従業員数が10人以下の場合、補助支給対象人数は最大3人までとされる(中小企業の創新に係る従業員増員促進補助細則第12条)。
2.解説
現行の「産業創新条例」では、企業の研究開発への投資支出金額の15%を上限として、当該年度の営利事業所得税から控除することができると規定されています。他方、新「中小企業発展条例」では「産業創新条例」と同じく当該年度に投資支出額の15%の税額控除措置が設けられるほか、3年間にわたり各年度の投資支出額の10%を税額から控除する措置も設けられ、中小企業に選択権が与えられています。
また、中小企業および個人が知的財産権を非上場・非店頭公開企業または非エマージングマーケット企業へ現物出資した場合に、当該現物出資により所得が発生したとして直ちに課税される状況を避けるため、課税を延期する措置が新設されています。これは研究開発の成果の流通およびその応用にとって有利であり、企業の研究開発への投資を促進することができると考えられます。
さらに、従業員の新規雇用に係る補助細則が追加され、中小企業の所得の見込みによって、所得控除(中小企業発展条例第36条の2)あるいは補助金の給付(産業創新条例第11条)のいずれかを選択できることとなりました。
なお、上記に加え、6月12日に行政院より「中小企業発展条例」第36条の2の新設に係る草案が提出されております。本件については、同月13日の経済ニュース「中小企業の賃上げ、法人税控除で支援」(記事番号T00050926)にて説明されておりますので、併せてご覧ください。
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