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第62回 「外国営利事業が製造業技術サービス業および発電業から受け取るロイヤルティーおよび技術サービス報酬の免税案件審査原則」の改正規定


ニュース その他分野 作成日:2014年4月16日_記事番号:T00049767

KPMG 分かる台湾会計

第62回 「外国営利事業が製造業技術サービス業および発電業から受け取るロイヤルティーおよび技術サービス報酬の免税案件審査原則」の改正規定

 2014年1月29日に「外国営利事業が製造業技術サービス業および発電業から受け取るロイヤルティーおよび技術サービス報酬の免税案件審査原則」(以下、「審査原則」)が改正されました(台財税字第10304503280号通達)。台湾企業が外国企業の特許権などを使用し、特許使用料やロイヤルティーなどを支払う場合、当該外国企業には所得税が課され、台湾企業は原則として源泉徴収義務を負います。

一部特許料などが免税に

 しかし、台湾企業が主務機関の承認を得て使用する特許権などの使用料については、台湾での所得税および源泉徴収義務が免除される制度があります。本「審査原則」は、この免税措置を付与する際の主務機関の審査要領を定めたものであり、改正によって免税要件が緩和されました。今回の本コラムでは、この審査原則の主な改正要点について取り上げたいと思います。

1.外国で登録された特許権などに係る特許使用料なども免税対象に

 従来、外国で登録された特許権などに支払う使用料やロイヤルティーは、免税対象ではありませんでした。改正後は、外国企業が外国の法令に基づいて登録・取得した特許権などについても、「一定の要件」を満たす場合は免税対象とされました。

 ここでいう「一定の要件」とは、台湾政府が重視する産業(発展目標産業)に属する20産業(改正審査原則第5点)で、かつ重要な技術に関する特許であることを意味します。また、当該技術と同様の技術が台湾域内では提供できない、または既存の技術が域内で提供可能であるものの、その能力では台湾企業の製品規格の要求を満たすことができない場合に限るとしています。

 今回改正で免税対象とされる外国の特許を管轄する当該国は、台湾と相互に優先権を認める国、もしくは世界貿易機関(WTO)の加盟国に限られます。

2.専門技術の免税申請(改正審査原則第7点)

 旧審査原則では、ある特定の製品の生産または技術サービスの提供のために利用した専門技術は、「各種特許権利」と見なされ、免税規定に基づき申請することが可能であるとされていましたが、新審査原則では、このような専門技術は免税の申請ができないとされました。

3.外国企業のコンピューター・プログラムに係る外国著作権(改正審査原則第7点)

 従来、免税対象とされていなかった外国企業が有するコンピューター・プログラムに係る著作権に対する著作権使用料が免税の範囲に含まれることとされました。

4.免税対象となる工場建設に係る技術支援報酬の範囲の改正(改正審査原則第9点)

 特定の事業に必要な工場の建設のために外国企業から受けた技術サービスの報酬については、従来から免税対象に含まれていましたが、今回の改正によって特定の事業が「重要な生産事業」となり範囲が改められました。

5.免税となる特許権使用料などが独立企業間の取引価格に該当すること(改正審査原則第11点)

 主務機関の承認を得た特許権などが外国の関係会社が有するものであり、台湾企業が当該外国関係会社へ支払う場合については、独立企業原則に適合する必要があることが改めて追加されています。

11年以降の契約に適用

 本審査原則は14年1月29日から有効となり、11年1月1日にさかのぼって効力が生じます。したがって、発効日(11年1月1日)以後に台湾企業と外国企業との間で締結された契約については今後、改正後の審査原則が適用されます。

 今回の新審査原則は、主務機関が台湾産業の発展の方向性を考慮し、外国からキーポイントとなる技術を導入する必要のある発展目標産業が存在しているといった状況に配慮して改正されたものです。

 新審査原則では、外国企業が外国の法律により登記・取得した特許権についても、特別な案件として経済部工業局から許可を受けた場合、免税の適用申請ができるとされています。

 なお、コンピューター・プログラムへの著作権導入および運用も、台湾の産業の発展に資するため「各種特許権利」と見なし、免税の適用申請が可能であるとされています。

外国企業の特許も対象の可能性

 また、産業高度化促進条例が終了(09年12月31日)した後、免税の適用ができない外国企業が保有する特許権およびコンピューター・プログラムについては、今回の改正により、台湾企業と外国企業間の契約書の締結日が11年1月1日以後である限り、免税の適用申請ができるとされています。

 各企業においては、新審査原則の内容を踏まえ、発効日後に締結されたロイヤルティー契約書を再確認されることをお勧めいたします。使用許諾の対象項目が外国で登録された特許権で、重要な技術に属し、発展目標産業に該当する場合や、外国企業が有するコンピューター・プログラムの著作権であれば、免税の適用により、納付した源泉税の還付を受けることができる可能性があります。

 本件につきましては本稿をご参考いただきますとともに、詳細につきましては顧問会計事務所等にお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
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