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13年10大ニュース!(3〜4位)


ニュース その他分野 作成日:2013年12月27日_記事番号:T00047871

月間5大ニュース

13年10大ニュース!(3〜4位)

【3位】台湾電子ブランド、苦境深まる

 台湾電子ブランドの看板を背負ってきた宏碁(エイサー)、宏達国際電子(HTC)の業績が低迷、消費者市場で台湾勢の勢力減退が顕著になった。


台北一の電子街、光華商城のパソコン売り場でも、以前はエイサーの緑とASUSの青が拮抗(きっこう)していたが、最近では明らかに青が優勢だ(YSN撮影)

 台湾電子ブランドの先駆者であるエイサーは、コスト削減を求めて研究開発(R&D)の大半を受託生産メーカーに丸投げした結果、製品開発力が低下し、魅力ある製品が生まれなくなった。こうした中でスマートフォンとタブレット型パソコンの隆盛に後手に回り、今年は第3四半期に131億台湾元の赤字を計上、王振堂董事長兼CEOが引責辞任し、11月21日、創業者の施振栄(スタン・シー)氏が董事長に返り咲いた。

 一方、昨年より業績低下が伝えられていたHTCは、3月に旗艦機種の「新HTC One」を発売したものの起死回生には至らず、第3四半期に上場以来初となる約30億元の赤字を計上、通年でも赤字が確実視されている。

 HTCとエイサーは2011年度に中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)による「台湾国際ブランド企業20社」の1位と2位なったが、わずか2年でそのブランド力が色あせてしまった。両社の苦境の理由は、価格・スペック競争が極めて激しい電子製品の消費者市場で、決定的な競争力を持つ製品を供給できていないことに行き着く。マーケティング力が相対的に弱いこと、母体となる台湾市場が小さいことなどもマイナス要因として挙げられる。

 一方で、ノートPC、タブレットPC、スマートフォンのうち、複数の用途で使えるアイディアに富んだ製品を次々と打ち出す華碩電脳(ASUS)が、台湾電子ブランドで唯一健闘している。

【4位】経済協定交渉が相次ぎ進展、市場開放への一歩に

 今年は各国との経済協定交渉が前進し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)とアジア地域包括的経済連携(RCEP)への加入を目指す台湾にとって大きな一歩となった。しかし一方、6月に調印した中台サービス貿易協定に対しては台湾への悪影響を懸念する声も根強く、コンセンサスを得にくい政治事情が浮き彫りとなり、今後の各国・地域との経済協定交渉に遅れが生じると憂慮されている。

 台湾は7月、先進国との初の経済協定となるニュージーランドとの「台紐経済合作協定(ANZTEC)」を調印、12月1日に発効を迎えた。11月にはシンガポールと「経済パートナーシップ協定(ASTEP)」を調印し、早ければ年内にも発効する見通しだ。この他、インド、インドネシア、フィリピンなどとも交渉準備を進めている。台湾は各国・地域との自由貿易協定(FTA)締結を積み重ねることで、TPPとRCEPへの加盟に近付きたい考えだ。

 ただ、中台間の経済協定の第一陣であるサービス貿易協定は、内容が中台間の密室交渉で決まったことへの反発から、条文ごとの審議を行うなど立法院での承認手続きが来年に持ち越しになることが決まり、台湾政府が期待していた年内発効はかなわなかった。これにより、後続の中台物品貿易協定の交渉にも遅れが生じている。

 一方、既に米国、欧州連合(EU)とのFTAを発効させた韓国は、現在中国とのFTA交渉に入っており、目標の2015年に締結となれば、台湾は海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)の先行メリットを失う上、世界市場全体に対する輸出競争力でも韓国に大きく水をあけられることになる。台湾内部の対中経済協定をめぐるジレンマは、世界に「市場開放に消極的」との印象を与える恐れもあり、早期の合意形成が求められている。 

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