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第78回 2016年に施行される「房地合一課税」税制について


ニュース その他分野 作成日:2015年8月19日_記事番号:T00058790

KPMG 分かる台湾会計

第78回 2016年に施行される「房地合一課税」税制について

 最近不動産屋の前を通る際に「房地合一課税」の文字を見かけることがあるのではないかと思います。台湾の不動産価格が高騰する中、不動産取得を考える駐在員の方はほとんどいないと思いますが、台湾の不動産市場で現在どのような動きが起こっているのかを理解いただくために、今回は房地合一課税を解説したいと思います。

1.現状の不動産課税方法
 房地合一課税を一言で言うと、実際の不動産の取引価額に基づいて土地建物の譲渡益課税を行うというものです。新制度導入背景をご理解いただくために、まず現状の台湾の不動産の課税方法(個人)を簡単にまとめると、図1の通りです。

 

 土地については、所得税は課されず、実際の取引価格よりかなり低い公示価格に基づく土地増値税の課税がなされています。建物についても個人所得税が課されるものの、これも一般的に実際の取引価格とは直接結びつかない公告現在価値に基づき財産取引所得が計算され、個人総合所得税が課されます。

 かねて不動産価格の高騰への対策を検討していた政府は2011年にぜいたく税を導入したものの、保有期間が2年を超過した不動産の譲渡には課税がないため、十分な抑止効果は得られませんでした。

 そこで今回房地合一課税が導入されることになりました。その概要(個人)は図2の通りです。

2.新税制で影響を受けるのは?
 課税の趣旨が、不動産価格高騰の抑制という点を踏まえて、個人の自己居住用の不動産の課税についは緩和されています。特徴としては、▽400万台湾元の定額免税▽超過額に対する低税率▽再購入に対する税還付適用──が挙げられます。新税制により影響を受けるのは、不動産を投機対象として保有、売買する投資家と考えることができるでしょう。

 15年6月5日に房地合一税制改革の「所得税法」の一部条文、および「特種貨物および役務税条例」第6条の1の修正草案が立法院の第8回第7会期第15次会議を通過しています。総統による公布後、新税制は16年1月1日より施行が開始されます。

 新税制の施行により不動産投機熱が弱まり、庶民の手に届く価格になってもらえればと思いますが、今の収益還元利回りを無視したキャピタルゲイン重視の価格を考えると、個人的にはその実現はなかなか難しいのではないかと考えてしまいます。

 本件に係るより詳細な情報につきましては、顧問会計事務所等にお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
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