ニュース その他分野 作成日:2015年11月27日_記事番号:T00060633
KPMG 分かる台湾会計日本と台湾間の日台租税協定が2015年11月26日に締結されました。双方の法制定手続きの完了後の翌年(現実的には17年と思われる)1月1日以降の所得等に適用予定です。台湾に進出している日系企業にとっては待ちに待った租税協定ではないかと思います。今回は日系企業に大きく影響があると考えられる4項目についてご説明します。
1.配当、利息およびロイヤルティーの源泉税率の低減
現状、台湾子会社が日本親会社に支払う配当、利息およびロイヤルティーについては、台湾の国内法に基づき、台湾で20%の課税が行われています。今回租税協定の締結により下記の通り低減されます。
2.日本法人の台湾での事業所得課税
国際課税では「PE(恒久的施設)なければ課税なし」という原則があります。しかし、日台間には租税協定がなかったため、日系企業の台湾での事業所得に関し、その所得が台湾源泉所得と見なされれば、PEを設立して台湾で納税するか、台湾での源泉徴収が必要となっています。租税協定の締結によりPEの定義が明確化され、日系企業が台湾にPEがないと認定されれば、台湾での事業所得は申請により免税となります。
3.日本人出張者の台湾での所得課税
従来、台湾での居住者、非居住者の判断は台湾での滞在日数で判断され、暦年で91日以上台湾に滞在する場合、日本本社からの給与のみでも台湾で所得税課税がなされています。租税協定締結により、課税年度内に開始または終了するいずれの12カ月間における台湾滞在日数が183日を超えない場合、給与がすべて日本本社から支給される場合、台湾での所得課税は免除されます。
4.移転価格税制への対応
日本親会社と台湾子会社との取引に関して、台湾税務当局より台湾子会社が移転価格の追徴指摘を受ける場合、現状では日台で二重課税となるリスクがあります。租税協定の締結により、台湾税務当局から指摘がある場合、台湾当局に対して移転価格について日本税務当局と調整(対応的調整)することを要求することができ、二重課税リスクの回避が図れます。
また租税協定の締結により、事前に移転価格の追徴課税のリスクを回避する方法として、台湾および日本の税務当局双方に移転価格の二国間(バイラテラル)事前確認申請(APA)をすることができます。従来も双方の税務当局に別々に単一国(ユニラテラル)APAを申請することはできましたが、一方の税務当局の承認だけの場合には二重課税のリスク回避の効果が限定的でした。
租税協定のより詳しい説明につきましては、弊事務所で発行しております KPMG Taiwan Newsletter 2015-16 を下記のリンクよりご参照ください。
http://www.kpmg.com/TW/zh/services/test/JapanesePractice/jpnews/kpmg-jpnews201516j.pdf
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