ニュース その他分野 作成日:2016年1月6日_記事番号:T00061294
KPMG 分かる台湾会計2015年11月26日に締結された日台租税協定について、前回の個人所得税の取り扱いの説明に続き、今回は事業所得の取り扱いについて、その詳細をご紹介いたします。
1.台湾の所得税(法人税)法に基づく現行の課税状況
日本企業が台湾において請負工事、技術サービス提供などの事業を行う場合、その所得は台湾源泉所得と見なされ、台湾に支店、工事事務所または営業代理人を設立して台湾において申告納税するか、サービス提供先による支払い時の源泉徴収が必要となっています。その税率は、申告納税においては課税取得の17%、源泉徴収においては収入額の20%です。
請負工事、技術サービスに関しては、所得税法第25条の申請により、収入の15%を課税所得と見なす規定があり、その場合の税率は申告納税においては収入額の2.55%、源泉徴収においては収入額の3%になります。しかし、台湾においては、全体的に見て、一般的な国際課税の原則に基づくよりも広範囲に課税がなされているのが現状です。
2.租税協定に基づく免税範囲の拡大
租税協定の規定により、一般的な国際課税のルールと同様、日本企業が台湾にあるPE(恒久的施設)を通じて台湾内において事業を行わない場合には、申請により台湾において課税されないこととなりました。ここで、PEの定義は次の通りです。
・事業の管理の場所、支店、事務所、工場、作業場および天然資源採掘場所
・建築・建設現場、組み立て・据え付き工事またはこれらに関連する監督管理作業で、継続期間が6カ月を超えるもの
・日本企業が使用人その他の職員を通じて行う役務の提供で、いずれかの12カ月間において台湾滞在日数が183日を超えるもの
・日本企業に代わって行動する者が台湾において当該日本企業名において契約締結の権限を有し、かつ、この権限を反復して行使する場合
3.租税協定に基づく免税適用方法と注意点
租税協定に基づく免税規定を適用するためには、国税当局への事前申請が必要になります。既に発効されている台湾と他の国との租税協定の実務を参考にすると、一般的に当該申請から許可までに6カ月程度を要すると考えられます。その他の注意点は次の通りです。
・台湾におけるPEがない、またはPEを通じた事業ではない
・報酬受領者が実質上の事業提供者である(第三者による提供ではない)
・事業所得の範囲に属する(ロイヤルティーの支払いではない)
・提供サービスおよび報酬計算方法が契約内容と一致している
・実際のサービス提供がある
・報酬が独立企業間価格である(関係会社取引の場合)
まとめ
当該免税は申請ベースなので、許可を受けていない場合には台湾従来の規定に基づいた課税がなされます。申請のタイミングにより、受取時は20%の源泉徴収により一度納税を行い、許可を受けた後に還付申請するという実務が考えらえます。租税協定の適用開始後に日本企業が台湾において事業を行う場合には、免税適用の可否と申請のタイミングを慎重に検討する必要があると考えられます。
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