ニュース その他分野 作成日:2016年4月13日_記事番号:T00063524
KPMG 分かる台湾会計工場建設等で、日本法人が機器設備を据え付け工事込みのターンキー契約で受注するケースがあると思います。単なる機器設備の輸出と異なり、ターンキー契約の場合、台湾源泉所得として当該日本法人に対しても台湾にて課税がなされます。今回はターンキー契約に対する台湾における課税について説明します。
1.台湾源泉所得
機器は日本法人が輸出し、据え付け・試運転等は例えば別途台湾企業が請け負う場合、機器を販売する日本法人は単なる輸出取引を行ったものとして、台湾源泉所得はなく、台湾での課税はなされません。しかし据え付け・試運転等を含むターンキー契約の場合、当該契約は台湾源泉所得として、機器部分も含め全体が台湾源泉所得として課税対象になります。仮に機器部分と据え付け部分の契約を分けたとしても、相手が同一の場合、ターンキー契約と国税当局から認定される可能性があります。
2.課税の方法
課税の方法は次の3つが考えられます。①契約額全体について源泉徴収を受ける方法。②国税局へ課税主体としての工事事務所を登録し、申告納税する方法。③台湾支店を設立して申告納税する方法。
3.源泉徴収を受ける方法
日本法人が台湾に納税主体を有さない場合、発注した台湾法人が日本法人に送金する際に、契約額全体について20%の源泉徴収を行い納税します。これで日本法人の台湾における納税義務は終了します。
4.工事事務所を登録する方法
ターンキー契約の納税申告の為、国税局に納税主体として工事事務所の設立登録をすることができます。工事事務所は、契約額から工事原価を差し引いた利益に対して所得税率17%により申告納税します。工事原価のうち日本発生原価については、日本の公認会計士による原価証明が必要です。工事が終了したら工事事務所の登録を取り消します。
5.支店を設立する方法
契約が複数あり、その後も台湾法人からの継続的な受注が見込まれる場合は、台湾に支店を設立することが考えられます。会計期間ごとの利益に対して所得税率17%により申告納税します。日本発生原価については工事事務所と同様に日本の公認会計士による原価証明が必要です。
6.課税の軽減方法
いずれの方法も、所得税法第25条のみなし課税適用の可能性があります。日本における原価の配賦計算が困難な場合、財政部へみなし課税の申請をし、許可を得られた場合は、契約額の15%がみなし利益と認定されます。源泉徴収の場合は税率が3%(15%×源泉税率20%)に、工事事務所および支店の場合は契約額に対する2.55%(15%×所得税率17%)の課税となります。みなし課税適用の場合、日本発生原価の日本の公認会計士の証明は不要です。また、2017年1月1日から適用予定の日台租税協定に基づき、工事期間が短期であるなどの状況により日本法人に台湾PE(恒久的施設)がないと認められる場合は、事業所得の免税申請により契約全体が免税となる可能性があります。
まとめ
台湾から機器を受注している日本法人においては、据付契約は台湾源泉所得であると認識して源泉徴収を受けている一方、機器を別契約で締結して源泉徴収を受けていないケースもあるのではないかと思います。台湾からの機器受注がある日本法人においては、現在の契約および課税状況を整理し、台湾における課税リスクを一度検討されることをお勧めいたします。
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