ニュース その他分野 作成日:2016年2月3日_記事番号:T00061874
KPMG 分かる台湾会計前回に引き続き、今回も台湾における個人所得税関連で、その中でも前回説明した配偶者控除以外の主な所得控除について、日本の所得税計算における控除と比較する形でご説明いたします。
1.給与所得控除
日本における所得税計算において、給与「収入」から給与所得者の必要経費に該当する給与所得控除を差し引いた額が給与「所得」とされています。給与所得控除は給与収入の5〜40%で、上限額が2015年度分で245万円、その後16年度分で230万円、17年度分で220万円と段階的に引き下げられることが決まっています。
台湾における所得税計算においては、給与「収入」=給与「所得」とされ、日本と所得の概念が異なります。しかし、所得控除の一つとして給与所得控除がありますので、実質的な構造上の差はないと考えられます。給与所得控除の金額は給与所得額にかかわらず定額の12万8,000台湾元となっています。
日台の比較では、例えば給与収入で500万円と130万元を比較すると、日本では約30%の給与所得控除があり、一方台湾では約10%の所得控除しかありません。日本の給与所得控除が年々削減されるものの、日本は台湾と比べると給与所得控除額が大きいと言えます。
2.保険料控除
日本において、健康保険、厚生年金などの社会保険料の被保険者負担額は全額社会保険料控除として控除することが認められています。また、任意の生命保険などに関しては、生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の控除として一定の計算により合計で控除上限12万円が認められています。一方、台湾においては、全民健康保険料の個人負担額については全額、その他の労工保険料、生命保険料に関しては1人当たり上限2万4,000元の保険料控除が認められています。台湾では配偶者および直系親族の保険料も控除対象となるため、配偶者および直系親族の保険料がある場合には、生命保険料等の控除では台湾の方が金額が大きくなることもあります。
3.医療費控除
日本においては、実際に支払った医療費から保険給付額および10万円(所得が200万円以上)を控除した額を、上限200万円まで医療費控除として認められます。台湾においては、実際に支払った医療費から保険給付額を除いた全額が医療費控除として認められます。医療費控除では台湾の方が有利といえます。
4.定額控除
台湾では実額控除(上記2.で記載した保険料控除、上記3.で記載した医療費控除、寄付金控除、災害損失、家屋購入利子控除および家賃控除の合計)と定額の標準控除のいずれかを選択することができます。定額控除の金額は15年度においては9万元(単身者)または18万元(配偶者あり)となっています。実額控除の合計が定額控除の金額に満たない人も多く、実務上は定額控除を行っているケースが多く見られます。これは日本にはない制度です。
5.扶養控除
日本では扶養家族の区分により扶養控除として38万円、48万円、58万円、63万円の控除があります。ただし12年に子ども手当の導入の財源として15歳以下の子どもに対する扶養控除が廃止されています。一方台湾では扶養控除として1人当たり8万5,000元(70歳以上の老人は12万7,500元)が認められます。扶養控除は手当を含めた政策的な性質もあり、また扶養者の定義も異なるため比較が難しいですが、台湾の扶養控除は日本とほぼ同様の制度となっていると考えられます。
まとめ
所得控除項目は日台ほぼ同様のものがあることが分かります。一方、給与所得控除における日台の差が大きいため、多額の医療費の発生など特殊な状況以外においては、日本の方が所得控除額が大きいと言えると思います。
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