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第81回 企業会計準則


ニュース その他分野 作成日:2015年11月18日_記事番号:T00060443

KPMG 分かる台湾会計

第81回 企業会計準則

 今年も早いもので残すところ1カ月半になりました。そろそろ年末および来年の準備を始める頃かもしれません。実は台湾における非公開発行会社(ほとんどの日系企業がこちらに該当します)に適用される会計原則が来年、2016年度から全面的に変更されます。この段階でご紹介することは非常に遅いと思われるかもしれませんが、そこには台湾ならでは理由もございます。今回は会計原則変更の背景とともに、新しい会計原則である「企業会計準則」のご紹介をいたします。

1.会計原則変更の背景

 会計原則に関して、世界的に国際会計基準(IFRS)への統一の動きがございますが、台湾もその例外ではありません。台湾の公開発行会社では13年度より台湾版IFRS(T-IFRS)の適用が強制されることになりました(一部の公開発行会社は15年度より強制適用となっています)。しかし、非公開発行会社にT-IFRSをそのまま強制適用することは、中小企業にとってコストベネフィットが合わず、現実的ではないため、引き続き「財務会計準則公報」に基づく台湾基準(いわゆるROC-GAAP)の適用となっています。

 一方、会計原則の上位規範である「商業会計法」は14年6月に国際的な規範に合わせて改正され、従来からの会計原則である「財務会計準則」との不整合が生じることになりました。そこで、IFRSの考え方を基本とした改正後の「商業会計法」と整合しつつ、非公開発行会社が適用するのに適した簡易な会計原則が必要になり、「企業会計準則」が制定され、16年度より適用されることになりました。

2.会計法令諸規則の適用序列

 全体像を理解するために、台湾における会計法令諸規則の適用順序を示すと下記の通りになります。今回改正されたのは非公開発行会社の3の部分になります。

3.企業会計準則の特徴

 「企業会計準則」は合計22号の公報で構成され、現在の「財務会計準則」(41号の公報)と比べて、中小企業に不要な基準は設けず、簡素化されています。また、IFRSの考え方に基づき、詳細な規定を設けず、実質を各社が判断して会計処理をする「原則主義」を取っています。財務諸表の様式、勘定科目についてもIFRSに準拠する形で規定されています。

4.現状の理解と必要な対応

 当原稿を執筆時点でまだ全ての公報が公布されているわけではなく、いくつかの公報はまだ公布されていません。公布済み公報に関する適用の説明会が会計士協会で開催されている段階です。また、簡素化された結果、規定がなくなった公報(例えば退職給付会計)に関して、従来の公報に基づいて会計処理していた企業が、「企業会計準則」適用開始後にどう処理すべきかに関しての方針もまだ明確になっていません。このような状況で、16年の適用自体は確定しています。台湾らしいというところかもしれません。

 ここからは私見ですが、制定の趣旨が中小企業向けの簡易な会計原則を設けることなので、新会計原則の適用により企業に大きな負担を強いるものではないと考えられます。財務諸表の様式に関しては変更されるところが多々ありますが、財務諸表自体は16年が終了した後に作成するものなので、1年以上の猶予があります。

 今後非公開発行会社の各社では、「企業会計準則」の各公報の規定および規定がない部分についての取り扱いについて、今後順次情報を集めていく必要があることをご認識ください。

 本件に係るより詳細な情報につきましては、顧問会計事務所などにお問い合わせの上、業務にお役立ていただけますと幸いです。本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
日本業務組
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TEL:886-2-8101-6666
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