ニュース その他分野 作成日:2016年1月20日_記事番号:T00061583
KPMG 分かる台湾会計年が明け、弊事務所でも個人所得税申告代行の準備を始める頃になりました。今回は日台租税協定から離れ、日本では廃止が検討されている個人所得税の計算における配偶者控除についてご説明します。
単身赴任でも控除受けられる?
台湾居住者の個人所得税の計算上、配偶者分の基礎控除として8万5,000台湾元があります。また、配偶者がいる場合には定額(標準)所得控除額が単身の場合に比べ9万元増加します。この基礎控除および定額所得控除額の増加が配偶者控除相当と考えられます(以下合わせて、配偶者控除とする)。ここで、単身赴任で台湾に来ている方の配偶者控除は認められるのか、認められる場合、日本で配偶者に所得がある場合はどこまで認められるのか疑問が生じます。
結論は、いずれの場合も必要な手続きを取れば、配偶者控除を受けることができます。以下、そのロジックを説明します。
台湾の個人所得税は夫婦合算での申告が原則とされています。これは配偶者の一方が海外に居住しているケース、すなわち今回説明する単身赴任の日本人においても同様です。
配偶者に所得がない場合においては、合算すべき所得がないため、申告所得額に変更はなく、戸籍謄本により配偶者がいることを証明できれば配偶者控除を受けることができます。この場合は非常に簡単です。
次に、配偶者に所得がある場合においては、少し複雑になります。今回の例は単身赴任者のため、配偶者の所得は日本で発生しているものと考えられます。日本在住の配偶者の所得は台湾外源泉所得であり、台湾における通常の個人所得税計算上の所得の対象となりません。しかしながら、当該所得は最低税額制度といわれる「所得基本税額制度(※)」の対象になります。所得基本税額制度において、年間100万元未満の所得は申告不要とされています。従って、配偶者の所得が100万元未満の場合は、戸籍謄本により配偶者がいることを証明できれば配偶者控除を受けることができます。
(※)所得基本税額制度とは、一定範囲の非課税所得や免税所得などを加えた「基本所得」を計算し、これに通常の所得税率とは異なる税率を適用して、最低限の課税を行う制度である。
海外での所得への追加課税はまれ
では、配偶者の所得が年間100万元以上の場合には控除が受けられないかというと、そうではありません。所得基本税額制度においては、台湾外源泉所得として課税される税額(基本税額)の計算では、670万元の控除額があり、税率が20%で、台湾外源泉所得に対しては、外国で発生した税金を差し引くことができます。この結果、通常の給与所得で考えると、戸籍謄本に加え、配偶者の日本の所得および納税証明を提出することにより、追加税額が発生することは非常にまれと考えられます。
従って、戸籍謄本、配偶者の日本の所得および納税証明を入手することにより、ほとんどの場合において追加課税なく、配偶者控除を受けることができるということになります。
「配偶者なし」で申告するケースも
ただし、配偶者控除のメリットは控除増加額17万5,000元に適用税率を乗じた額だけです。配偶者の証明書類を入手するのが煩わしいという理由で、所得を有する配偶者がありながら、配偶者なしとして申告しているケースがあるのも事実だと思われます。
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