ニュース その他分野 作成日:2016年5月18日_記事番号:T00064214
KPMG 分かる台湾会計台湾は日本人にとって生活がしやすいためか、駐在期間がかなり長くなっている方も多い気がします。人によっては、台湾駐在のまま定年退職の年齢を迎える方もいるのではないでしょうか。今回は外国人が外国本社から受領する退職金に対する台湾における課税について解説します。
1.退職金の区分
外国人が外国本社から受領する退職金については、台湾勤務期間(台湾源泉所得)とそれ以外の期間(台湾領外所得)に案分し、それぞれについて別途課税計算がなされます。例えば日本法人に30年勤務し、そのうち最後の10年間台湾に派遣されていたA氏が、日本法人から600万台湾元の退職金を一括受領した場合で考えると、受領退職金のうち200万元(600万元×10/30年)が台湾源泉退職金、400万元(600万元×20/30年)が台湾領外退職金となります。
2.台湾源泉退職金の課税
退職所得は、長年の勤労に対する報償的給与として支払われるものであることから、給与所得と比して税負担が軽くなるよう配慮されています。退職金を一括で受領する場合は、下記の区分に応じて所得が免除され、免税範囲を超える部分について、当年度の課税所得に算入します。
退職金を分割受領する場合は、年間受領総額から75万8,000元を控除した後の額を課税所得に算入します。一時受領と分割受領が共にある場合は、両者の免税額を退職金受領額の比率により適用することになります。
3.台湾源泉退職金の課税所得計算例
上記1のA氏の例では、下記の計算のとおり、200万元のうち12万5,000元だけが課税される退職所得となり、当該年度の課税所得に算入します。
17万5,000元×10年=175万元(a)
35万1,000元×10年-(a)175万元=176万元(b)
200万元-(a)175万元=25万元
〈≦(b)176万元〉
25万元×1/2=12万5,000元
4.台湾領外退職金の課税
台湾外の勤務期間の所得は、基本的には台湾の所得税の課税対象ではありません。しかし、台湾領外源泉所得に関しても、台湾では最低税額制度(所得税基本税額条例)に基づく「基本所得額」として、課税対象になります。ただし、この基本所得額には免税額670万元があり、また、当該所得に対して海外で発生した税額があれば控除できるため、実際に台湾で課税されるケースは少ないと思われます。上記のA氏の例でも台湾領外所得が400万元で、免税額以下のため、最低税額制度に基づく納付額はありません。
まとめ
上記では、台湾での退職金に対する課税を説明しました。実際には日本においても退職金に対する課税があります。台湾駐在のまま日本法人から退職金を受領する場合、日本の非居住者としての退職金の課税は、居住者と同様の退職所得控除の選択適用ができるものの、非居住者に対する高い税率の適用や、台湾との二重課税の可能性があるため、定年退職直前に日本へ帰任されているケースが多いかもしれません。
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