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第94回 営利事業所得税(法人税)の計算方法


ニュース その他分野 作成日:2016年7月6日_記事番号:T00065105

KPMG 分かる台湾会計

第94回 営利事業所得税(法人税)の計算方法

 12月決算の会社であれば、営利事業所得税(法人税)の申告も終わり、株主総会も終了したころだと思います。今回は営利事業所得税の計算方法について、説明をしたいと思います。

1.全体構造

 営利事業所得税は課税所得に税率(17%)を乗じて計算します。課税所得が12万台湾元以下の場合には納税不要とされています。課税所得が12万元を超える場合は、それ以下の額を含めて全額が課税対象になります。なお、12万元を少しだけ超える場合にいきなり全額17%課税されることを避けるため、18万1,818元以下の課税所得の場合は、同額から12万元を差し引いた額の2分の1が所得税額とされています。

2.課税所得金額の算定

 営利事業所得税の課税所得は、財務会計の計算を基に、その税引き前利益に対し、税務と財務会計との差異に関して加算、減算をして求めます(表)。基本的な計算構造は日本の法人税と同じです。

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3.益金および損金の調整項目

 益金とは税務上の収益、損金とは税務上の費用を指します。いずれも税務上の規定と財務会計上の規定の差があり、税務計算上、益金および損金調整項目が生じます。税務と財務会計における計上時期の差異としての一時差異と、完全な差異となる永久差異があります。よく見かけられる一時差異の例として、税務上の証憑がそろわない場合の貸倒損失(損金不算入)、外貨建債権債務の期末為替換算損益(損金・益金不算入)があります。永久差異の例としては、国内法人からの受取配当金(益金不算入)、交際費の限度超過額(損金不算入)があります。期末為替換算損益は台湾特有の調整項目です。

4.免税所得と最低税額制度

 免税所得が所得税法第4条に定められています。ただし、一般的な台湾法人に適用されるものはあまりなく、台湾法人株式の譲渡損益くらいです。以前は土地の譲渡益が免税所得とされていましたが、2016年1月1日より房地合一税制により課税されることになりました。その他、新興重要性産業適用法人の5年免税対象所得がありますが、この優遇措置自体が09年に終了しているので、現在適用可能なものは終了前に申請された案件に限られます。なお、免税所得と相対する制度として最低税額制度があり、免税所得に対しても一定の税負担が生じることがあります。

5.税務上の繰越欠損金

 税務上の繰越欠損金は、法定要件を満たした場合、発生した事業年度から10年間繰り越すことができます。課税所得が発生した年度からの欠損金の控除額に、日本のような一定割合の限定はなく、課税所得の範囲内で100%控除が可能です。法定要件は、帳簿組織を完備し、期限内に申告することに加え、「公認会計士の税務監査を受けていること」「青色申告書を提出していること」のいずれかが必要です。

6.未分配利益課税

 17%の営利事業所得税に加え、営利事業者が当期利益について分配しなかった部分に対して、10%の営利事業所得税の追加課税があります。本来株主が負担すべき税金と考えることができますが、営利事業者の法人税として損益計算書に計上されることになります。このため、配当を行わない場合、台湾の法人税率は17%ですが、損益計算書上の税負担率が25%程度になってしまいます。

まとめ

 営利事業所得税の計算構造は、日本の法人税と近いので、日本人にとっては理解しやすいものと思います。税務調整項目に関しては台湾にも細かい規定がありますので、必要に応じて詳細を確認する必要があります。

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