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第98回 外国電子商取引企業に対する営業税法の改正の検討


ニュース その他分野 作成日:2016年9月7日_記事番号:T00066279

KPMG 分かる台湾会計

第98回 外国電子商取引企業に対する営業税法の改正の検討

 日本において長らく不平等が指摘されていた国外の電子商取引(EC)企業による役務提供に関する消費税の課税については2015年の税制改正によって改正がなされました。台湾の営業税においても同様の動きがありますので、現状について説明します。

1.概要

 財政部は、海外の電子商取引事業者についても営業税の納税義務を負わせる営業税法の修正計画を発表しました。当該修正案は、インターネットなどを通じて台湾の個人に役務提供を行う海外の電子商取引事業者に、税務当局に登録義務を負わせ、台湾で営業税を支払うことを要求しています。

 日本においても海外からのインターネットなどを通じた電子書籍・音楽・広告の配信などの役務提供には従来消費税が課税されていませんでした。一方、国内の事業者からの役務提供には消費税が課されており、不平等が指摘されていたことから、15年に税制改正がなされています。

2.台湾における現状

 現在の法令上は、営業税法の第36条により固定の営業場所を持たない海外の企業から役務提供を受けるとき、台湾の受益者が営業税を税務当局に申告して、納付しなければいけません。通常は役務提供者が営業税を納付する義務を負いますが、当該方式は受益者が義務を負うことから一般にリバースチャージ方式と呼ばれています。しかしながら、受益者が個人の場合には営業税の実務上の納税方法がないため、納税が徹底されていないのが現状です。

 このように、海外の電子商取引事業者には営業税が課されておらず、受益者の個人も納税がなされていないことから、台湾域内の同業他社と比較し、不平等に有利な状況となっています。

3.修正案

 経済協力開発機構(OECD)のBEPS(税源浸食と利益移転)における提言と欧州連合(EU)、日本および韓国におけるクロスボーダーの電子商取引業務における最新の議論を考慮し、財政部は台湾の個人に対してインターネットなどを通じて役務提供を行う海外の電子商取引事業者に対して税務当局に登録義務を負わせ、営業税を納付させることを提案しています。提案された内容は、現在税務当局、専門家および企業の間で議論中です。修正案は16年9月末に行政院に提出される予定であり、立法院通過後、施行される計画となっています。

4.まとめ

 当該修正案においては、現状明らかになっていない内容が多くあります。例えば、台湾において税務当局に登録する必要がある海外の商取引企業の定義、登録体制の仕組、最低限納税すべき営業税の金額の設定、統一発票の交付の必要性の有無などです。該当する海外の電子商取引事業者は改正案施行後に負担が増えることになりますので、関連する企業は、税務当局がこれらにどのように対応するのかについて引き続き注視する必要があると考えます。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
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