ニュース その他分野 作成日:2016年10月19日_記事番号:T00066973
KPMG 分かる台湾会計企業が特殊な技術を外部から購入し、企業の競争力向上を図ることがあると思います。今回は、企業が対価を支払って外部から取得した専門技術の税務上の損金算入に関する事例をご紹介いたします。
1.専門技術購入対価償却費の損金計上
企業が取得した専門技術の購入対価の償却費に関して、財政部南区国税局は「営利事業者が代価を支払って取得した特許権について、その権利を取得後の法定存続年数により均等償却した償却費を損金計上できる」と説明しています。これは、取得した専門技術の償却費について、特許権を取得した場合には損金計上でき、特許権を未取得の場合には損金算入できないことを意味しています。
2.国税局による損金計上否認事例
南区国税局が管轄内のA社の2013年度営利事業所得税(法人税)確定申告の内容を調査したところ、A社は取得技術の償却費用として約2,500万台湾元を計上していました。A社の説明では、A社は12年末に海外のB社から専門技術を約2億5,000万元で購入し、10年にわたって均等償却をしていました。しかし、国税局が確認したところ、B社が所有していた専門技術は特許権の登録がなされていませんでした。そのため国税局は、A社が購入した当該専門技術の対価は所得税法第60条規定の「使用年数により均等償却できる費用」に該当せず、当該費用を損金不算入として約400万元の追徴課税を行いました。
3.所得税法の規定
所得税法第60条に特許権等に関する規定があり、要約すると次の通りです。
営業権、商標権、著作権、特許権等は、対価を支払って取得したものに限り資産とすることができる。特許権等は取得対価を取得時の法定残存年数にわたり均等償却する額を損金計上額の基礎とすることができる。
まとめ
企業が特許権未登録の専門技術を外部から取得する際には、その取得対価について損金算入できないという問題があることに留意する必要があります。また、企業が合併買収等により取得する顧客リストや専門技術等の識別可能な無形資産についても、所得税法第60条に規定される無形固定資産に属さない場合、現行の法令下においては同様にその償却額を損金計上できない疑義があります。従って、合併買収の際には各無形資産の評価においても税務上の影響に注意が必要です。
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