ニュース その他分野 作成日:2016年12月21日_記事番号:T00068136
KPMG 分かる台湾会計2016年度より適用される非公開会社向けの会計基準であるEAS(Enterprise Accounting Standard:企業会計準則)に明確な規定がなかった有給休暇引当金に関して、会計研究発展基金会がQ&Aにて、計上が望ましい旨を公表しました。今回は、当該Q&Aにつきまして、有給休暇に関する労働基準法(労基法)の改正案を踏まえて、説明いたします。
1.有給休暇引当金とは
有給休暇引当金とは、当期以前に付与した有給休暇の期末時点の未消化日数のうち、翌期以降に合理的に使用が見込まれる日数に対して引当金を計上するものです。これは当期以前付与の有給休暇の翌期以降の消化時の給与支払い義務が会社の債務と認識されるためです。IFRS(国際財務報告基準)の例では、有給休暇の消化率が50%と考えられる従業員について、期末日に翌年に繰り越される有給休暇が10日の場合、10日×50%×日給を引当金として計上します(未消化有給休暇の買い取り義務がない前提)。
2.EASにおける有給休暇引当金に関するQ&A
16年12月7日に会計研究発展基金会企業から公表されたQ&Aによると、EASにおいて有給休暇引当金に関する規定はないものの、IFRSの規定に基づいて有給休暇引当金を計上することが望ましいとされています。
3.台湾の労基法における未消化有給休暇の取り扱い
従前の労基法における未消化の有給休暇の買い取り義務は、会社が適切に労働者に取得を促している場合には負わないものと解釈されていました。しかし、16年12月6日に立法院を通過した改正労基法38条案に「労働者の有給休暇は、年度終了もしくは労働契約の終止により未消化となる日数に対し、雇用主が賃金を支給しなければならない(17年1月1日より施行)」と追記されています。そのため、17年1月1日以降は、未消化の有給休暇については、繰り越しが認められず、年度終了時に買い取る必要があると解釈されています。
4.未消化有給休暇の会計処理
期末における未消化の有給休暇については、買い取り義務を負うため、未消化日数×日給を債務として認識する必要があると考えられます。一般的にこの場合は金額が確定しているため、会計上は引当金ではなく確定債務の未払金として計上することになると考えられます。
まとめ
従来のROCGAAP(台湾基準)では要求されていなかった有給休暇引当金について、EASでは計上を検討する必要がありましたが、改正労基法の未消化有給休暇の買い取り義務により、確定債務として未払計上する必要が生じることになると考えられます。従業員数が多く、影響が大きいと考えられる場合には、関連する会計処理につきまして、会計監査人と事前に協議の上、決算に与える影響を適切に把握する必要があると考えられます。
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