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第106回 退職給付引当金の会計処理


ニュース その他分野 作成日:2017年1月4日_記事番号:T00068311

KPMG 分かる台湾会計

第106回 退職給付引当金の会計処理

 今回は2016年度より適用される非公開会社向けの会計基準であるEAS(Enterprise Accounting Standard、企業会計準則)に明確な規定がなかった退職給付引当金に関して説明いたします。

1.退職給付引当金とは

 退職給付引当金とは、従業員の退職時に支払われる退職金に対して、退職時の一時の費用とせず、その勤務期間にわたり費用化するために計上する引当金です。台湾では05年の労働者退職金条例の施行により、いわゆる旧制度の労働基準法(労基法)と新制度の労働者退職金条例の二つの退職金制度が並存しており、退職給付引当金は旧制度を選択している(または対象期間が残っている)従業員が対象になります。新制度は確定拠出型のため、退職給付引当金の計上は不要です。

2.EASの退職給付引当金規定

 「財務会計準則公報」に基づく台湾基準(いわゆるROC GAAP)において、退職給付引当金の会計基準(財務会計準則公報第18号)の規定がありましたが、非公開発行会社はその適用が任意とされており、非公開発行会社の多くは適用していませんでした。EASにおいては、基準自体が非公開発行会社向けということもあり、退職金の会計処理基準自体が設定されませんでした。そのため、従前より退職給付引当金を計上している会社がEASにおいてどう会計処理すべきかが課題になっていました。

3.会計研究発展基金会のQ&A

 上記課題に対して16年12月会計研究発展基金会のQ&Aが公表され、従前より財務会計準則公報第18号に基づき退職給付引当金を計上していた会社については、EAS適用後は国際会計基準(IAS第19号)に基づき継続して退職給付引当金の計算をする必要があるとされました。

4.15年2月労基法改正との関係

 15年2月の労基法の改正により、旧退職金制度の退職金受給資格保有者の退職金要支給額に外部拠出積立金残高が不足する場合、毎年3月末までの追加拠出が規定されました。退職給付引当金を計上していない会社も、従業員の退職前に同規定による追加拠出があれば同拠出額を退職金費用として計上する必要があります。

まとめ

 従前より退職給付会計を適用していた会社はEAS適用後にIAS第19号に基づき会計処理する必要があります。退職給付会計を適用していなかった会社も、15年改正労基法下の追加拠出による一時の多額の費用化を避けるため、退職給付会計の適用を検討するのもよいと思われます。その際は厳密なIAS第19号に基づかずとも、簡易で合理的な方法による計上も認められると考えられますので、担当の会計士にご相談されることをお勧めします。

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