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第107回 資産除去債務の会計処理


ニュース その他分野 作成日:2017年1月18日_記事番号:T00068590

KPMG 分かる台湾会計

第107回 資産除去債務の会計処理

 今回は2016年度より適用される非公開会社向けの会計基準であるEAS(Enterprise Accounting Standard、企業会計準則)において規定されている資産除去債務の会計処理について説明いたします。

1.資産除去債務とは

 資産除去債務とは、取得した固定資産について、法律や契約等に基づき除却する際の適切な方法等が指定されその費用が見込まれる場合に、その費用を取得時に債務として計上するものです。一般的な例としては、オフィスの賃貸契約の現状復帰義務に基づく固定資産(内装等)の現状復帰費用がよく見受けられます。

2.EASにおける資産除去債務の規定

 ROC GAAP(旧台湾基準)においては、08年に会計研究発展基金会にて資産除去債務に関する通達が公表されていたものの、財務会計準則では規定がなかったため、計上していない会社も多かったと考えられます。EASにおいては、企業が原状回復義務を負っている場合、有形固定資産を撤去・除去し原状を回復する際の原価を当該有形固定資産の取得原価に含める必要があるとされ、資産除去債務の計上義務が明確化されました。

3.資産除去債務の会計処理

 賃貸オフィスを例に取ると、賃貸開始時に移転時の見積原状復帰費用(の現在割引額)を負債として計上し、同額を資産として計上します。資産については、当該固定資産の減価償却に合わせて、耐用年数にわたり償却し費用化します。負債に関しては、毎期利息費用を計上し、耐用年数到来時には当初の見積現状復帰費用の全額が計上されます。移転時に資産除去債務を取り崩して原状復帰費用を支出し、見積もりと実際額に差異がなければその時点での費用計上はありません。

まとめ

 EASにおいて資産除去債務の計上義務が規定されました。しかし、適用すべき割引率や見積変更時の処理などの詳細規定は明確になっていません。影響が大きいと考えられる場合には、関連する会計処理について、担当会計士と事前に協議の上、決算に与える影響を適切に把握する必要があると考えられます。

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