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第112回 作業時間比例法および生産高比例法の税務上の注意点


ニュース その他分野 作成日:2017年4月19日_記事番号:T00070102

KPMG 分かる台湾会計

第112回 作業時間比例法および生産高比例法の税務上の注意点

 あまり多くないかもしれませんが、固定資産の減価償却方法として作業時間比例法および生産高比例法を採用している企業もあると思います。今回は営利事業者の作業時間比例法および生産高比例法を採用時の税務上の注意点を、事例を基に説明します。

1.作業時間比例法および生産高比例法とは

 固定資産の減価償却方法の一つで、固定資産の利用可能時間および量が見積もれる場合において、その利用に応じて減価償却費を計上する方法です。定額法、定率法を採用している企業が多いので、両方法を採用されている会社は少ないかもしれませんが、航空機、自動車や鉱業用設備などに採用されることがあります。

2.遊休資産の税務規定

 固定資産の使用開始後、自社製品の需要減少などにより固定資産を営業の用に供しない状況が発生することがあり、これを固定資産の遊休といいます。営利事業所得税監査準則に「営業上の使用に供されず遊休となったものについて、作業時間比例法または生産高比例法を採用するもの以外は、減価償却を継続する必要がある」と規定されています。この規定から、営利事業者が作業時間比例法および生産高比例法を採用し減価償却を計上後、当該設備が使用に供されず遊休となった場合、使用時間および生産高が発生しないため、税務上減価償却費を計上することができません。

3.減価償却費の否認事例

 南区国税局によると、A社の2011年度の営利事業所得税確定申告に対する調査時に、同社が1億5,000万台湾元のその他損失を計上していることを発見しました。A社の説明によると、一部の機器設備の機能が旧式となり、当該年度には実際に生産に使用しなかったため、「減価償却費」を「その他損失」に算入したとのことでした。国税局がA会社の機器設備の減価償却費の計上方法を確認したところ、作業時間比例法でした。そのため、監査準則の規定に基づき、営業上の使用に供されず遊休となった固定資産について、減価償却費を税務上計上すること、またはその他損失に算入することはできないとして損金算入を否認し、追徴課税しました。

まとめ

 遊休となった固定資産の減価償却費の計上に関して、減価償却方法の相違により税務上の取り扱いの差があります。作業時間比例法および生産高比例法を採用する場合については、税務上遊休資産の減価償却費の計上が認められません。また、今後全く使用見込みがなくなった場合に固定資産を廃棄する場合においては、別途会計士の証明書の入手など、廃棄損に関する必要な税務手続がありますので、合わせてご注意ください。

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