ニュース その他分野 作成日:2017年6月7日_記事番号:T00070973
KPMG 分かる台湾会計2016年12月の労働基準法(労基法)の改正に伴い、法定の残業手当の計算方法が変更となりました。これに対応し、残業手当の所得税上の取り扱いについて、財政部台北国税局が17年3月24日にプレスリリースを公表しています。今回は当該プレスリリースの内容について解説します。
1.プレスリリースの背景
台湾では日本と異なり、法定労働時間内の残業手当については個人所得税上、免税とされています。免税範囲の詳細については、85年、92年に公表された財政部のプレスリリースにより、改正前の労基法に沿った記載がなされていました。
一方、16年12月の労基法改正に伴う休息日(所定休日)の残業手当の新たな計算方法は、16年12月23日より施行が開始されていますが、当該新設条文については個人所得税上の取り扱いが明らかにされていませんでした。
そのため、国税局に休息日の残業手当等の個人所得税上の取り扱いに対して問い合わせが相次ぎ、今回のプレスリリースの公表に至りました。
2.今回明らかとなった免税範囲
従業員の通常の業務日と休息日の残業手当について、その金額および時間数が労基法第24条(残業代計算方法に関する条文)および第32条(残業時間制限に関する条文)の規定に適合し、毎月の残業時間数が46時間の範囲内である場合、個人所得税上、免税となります。
なお、休息日の場合、実際の残業時間数ではなく、実際に受領した残業手当分の時間数に基づき、免税となる給与所得が計算されます(例えば、休息日に残業2時間を行い、4時間分の残業手当を受領している場合には、4時間分として計算することになります)。
ただし、雇用主が天災、騒乱または突発事件を理由として、通常の業務日および休息日に従業員に残業を要請した残業時間数は毎月46時間の範囲に含めず、免税となります。
また、天災、騒乱または突発事件を理由とする例假日(法定休日)の残業について、主務機関により許可を受けた場合、当該残業手当は全額免税となります。
この他、国定休日および有給休暇取得日に残業した場合、その残業手当が労基法第39条(例假日、休息日などの賃金の取り扱いに関する条文)の規定を満たしている場合、当日の残業時間数8時間までの残業手当は免税となります。
超過部分は毎月の残業時間数に加算し、通常の業務日と休息日の残業時間と合わせて、46時間までは免税となります。
3.未消化有給休暇買い取り額について
有給休暇買い取り額については、今回のプレスリリースでは触れられていませんが、法定の有給休暇に関する買い取り額は免税となります。
まとめ
免税所得の計算は毎月給与から天引きする源泉税の計算にも影響があるため、毎月の給与計算の際にも考慮する必要があります。自社で給与計算をしている場合には、正しく免税所得の計算が行われているかどうか確認する必要があると思われます。
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