ニュース その他分野 作成日:2017年3月15日_記事番号:T00069491
KPMG 分かる台湾会計在庫を保有している会社にとって、ないに越したことはないですが、必ずと言っていいほど発生してしまうのが実地棚卸しによる帳簿との差額です。その多くが、帳簿残高より実在庫の方が少ない棚卸し差損だと思います。今回は棚卸し差損の税務規定を説明します。
1.棚卸し差損とは
製造業であれば材料、仕掛品および製品、販売業であれば商品などを棚卸し資産と呼びます。棚卸し資産の数量を管理するために、日々の入出庫を帳簿で管理する継続記録がなされます(継続記録法)。一方で、実在庫数を実際に数えて確かめることを実地棚卸しといい、一般的に最低でも年1回、期末日前後に行われます。実地棚卸しの結果、実在庫数が帳簿在庫数より少ない場合、それが棚卸し差損となります。
2.棚卸し差損の税務規定(一)
当然ではありますが、棚卸し差損の損金算入は継続記録法を採用している場合(または売価還元法の採用が承認された場合)のみ認められます。その上で、
(1)税務監査を受けていない場合
棚卸し損失の事実の発生後30日以内に、明細を添付して管轄の税務当局に報告し、税務当局の調査を受ける
(2)税務監査を受けている場合
会計士が実地棚卸しに立ち会い、会計士の棚卸しの監査報告書(一般的には利用されない)または年度の所得税監査報告書の提出を受け、税務当局の審査を受ける
以上により税務上損金が認められます。
一方、継続記録法を採用せず、期末実地棚卸しにより差額として売上原価を計算する場合、実際に発生している棚卸し差損が売上原価に含まれることになりますが、粗利率に異常がある場合などに売上原価の一部を国税当局より否認される可能性があります。
3.棚卸し差損の税務規定(二)
在庫の性質によっては保有時に自然にその数量が減少するものについて、棚卸し差損の証明記録が提出できない場合においては、適切な会計制度を保持し、実地棚卸しを実施した結果、下記計算式による棚卸し差損比率が1%以下の営利事業者について、その棚卸し差損の損金算入が認められます。
販売業:棚卸し差損/(期首棚卸し資産+当期仕入れ高-仕入れ返品および値引き)
製造業:棚卸し差損/(原材料・製品および仕掛品の期首棚卸し高+当期仕入れ高-返品および値引き+直接人件費+製造費用)
4.税務監査に関する留意事項
会計士が税務監査を実施する際には監査基準規定を参照し、実地棚卸し当日の立ち会いによるサンプルベースのテストカウントのみではなく、棚卸し資産に関する内部統制の適切性、棚卸し実施要領作成や当日の入出庫停止などの実地棚卸しのため、準備状況の評価も含まれている点にご留意ください。
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