ニュース その他分野 作成日:2017年5月17日_記事番号:T00070599
KPMG 分かる台湾会計今年2月に台湾の給与所得控除に関する司法院による違憲判断がありました。今回は日本の制度と比較しながら、台湾の給与所得控除の課題について解説します。
1.台湾の給与所得控除
台湾の所得税法では、所得を10種類に分け、その一つが給与所得とされます。給与所得申告時には必要経費相当として、給与額にかかわらず2016年度では一律12万8,000台湾元の給与所得控除が認められています。一方その他の所得の中で営利所得、専門職業所得、賃貸およびロイヤリティー所得、農業等所得並びに財産取引所得においては実際の経費の控除が認められる他、財政部公表の必要経費基準比率による控除も認められています。
2.司法院の解釈
17年2月に台湾司法院は、「所得税法に規定する給与所得申告計算において、定額の給与所得控除のみが認められ、その他の方法による必要経費の控除ができないことは憲法第7条の平等権保証の趣旨に反する」と判断し、2年以内の所得税法の関連規定の修正を要求しました。
3.日本の給与所得控除と特定支出控除
日本の所得税法では給与所得控除は給与収入によって給与収入額の5%から40%で算出し、16年度では限度額が230万円となっています。例えば給与収入800万円の場合には給与所得控除は200万円となり、給与所得は800万円-200万円で600万円になります。また、給与所得控除に加えて、一定の通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、書籍・制服等の勤務必要経費について、給与所得控除の2分の1を超える額について給与所得控除後の所得金額から差し引くことが認められています。ただし、必要経費額が給与所得控除額の2分の1を超えることは少なく、また申告には当該経費が職務に必要なものである旨の会社の証明書が必要であることなどから、実際に利用されることは非常にまれとなっています。
まとめ
台湾の司法判断にある、給与の実際の必要経費控除は日本では実質的にはほとんど利用されていないことを考えると、台湾での同様の制度を設ける意義はあまりないかもしれません。ただし、日本の給与所得控除額と比べると明らかに少ない台湾の給与所得控除額については、大きく改善をしてもらいたいところです。
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