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第119回 合併時の繰越欠損金の引き継ぎ


ニュース その他分野 作成日:2017年8月2日_記事番号:T00072036

KPMG 分かる台湾会計

第119回 合併時の繰越欠損金の引き継ぎ

 事業再編の一環でグループ内の会社で合併をすることがあると思います。合併時における税務上の繰越欠損金の引き継ぎについては、台湾と日本で考え方が異なります。今回は台湾における一般的な合併スキームにおける税務上の繰越欠損金の取り扱いについて解説いたします。

1.税務上の繰越欠損金

 台湾においては会計士による税務監査を受けているなど一定の要件を満たしている場合、税務上の繰越欠損金は発生年度から10年間控除が認められます。

2.資本関係がない会社間の合併時の繰越欠損金の取り扱い

 合併する両社が税務監査を受けているなど一定の要件を満たしている場合、合併時の両社の繰越欠損金の引き継ぎができますが、全額を引き継ぐことはできません。合併両社の繰越欠損金に、各会社の株主が合併により取得する存続会社の株式割合を乗じた額を、合併後の存続会社が引き継ぐことができます。A社とB社の合併(B社が存続会社)の計算例は表の通りです。

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 この例の場合、B社は繰越欠損金のあるA社と合併したにもかかわらず、合併後使用できる繰越欠損金が合併前と比べ減少してしまうことになります。

3.完全子会社を吸収合併した場合の繰越欠損金の取り扱い

 完全子会社を吸収合併した場合、合併前と合併後で存続会社の株主の持ち分に変動がありません。そのため、消滅する子会社の欠損金は上記同様の計算式に従い、引き継げないことになります。ただし、合併により存続会社にて実現する子会社株式の投資損失は損金算入することができます。

まとめ

 今回紹介した例は簡単な合併スキームの取り扱いになりますが、一部資本関係がある場合の合併などは計算がより複雑となりますので、シミュレーションの際には会計事務所等にご相談いただくことをお勧めします。また、引き継ぎの考え方は日本と制度が異なりますのでご留意ください。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
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