ニュース その他分野 作成日:2017年9月6日_記事番号:T00072720
KPMG 分かる台湾会計2016年3月にこのコラムで紹介したBEPSプロジェクトに関連する移転価格監査準則の改正草案が公表されました。今回は台湾におけるBEPSの内容をご紹介します。
1.BEPSとは
日本語では税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトといわれています。大手多国籍企業による各国の課税制度の違いを利用した租税回避行為が問題視され、経済協力開発機構(OECD)が行き過ぎた節税を防ぐために示している行動計画です。
15年10月5日にBEPS行動計画の最終パッケージが公表され、各国で順次法制化が進められ、日本では16年度の税制改正で制定されました。
2.移転価格監査準則の改定草案
財政部は17年7月27日に移転価格監査準則の改正草案を公表しました。この改正草案において、OECDのBEPS行動計画13に基づく移転価格文書化の三層構造を導入しています。
この改正移転価格監査準則は17年度確定申告案件から適用が開始される予定です。三層構造の文書は国別報告書、マスターファイルおよびローカルファイル(移転価格報告書)から成ります。それぞれの文書の内容は上図の通りで、日本の制度とほぼ差はありません。
3.国別報告書およびマスターファイルの免除規定
草案においては最終親会社の連結総収入金額が財政部規定の基準を満たさない場合に免除されるとだけ記載され、明確な金額はまだ提示されていません。OECDが進めた7億5,000万ユーロを台湾元に換算した額を参照することが予想されます。
4.3つの文書に対する日系台湾子会社の必要な対応
国別報告書:台湾税務当局が租税協定の情報交換規定に基づき日本税務当局から直接入手するのが前提で、台湾子会社での対応は基本的に不要です。
マスターファイル:台湾税務当局から台湾子会社に対して提出要請があると考えられるため、親会社から入手しておく必要があります。言語に関して、英語の場合はそのまま認められる可能性がありますが、日本語の場合は中国語訳を作成しなければなりません。
ローカルファイル:移転価格報告書の内容が新規定を満たしているかを確認する必要があります。また、マスターファイルの記載内容との整合性に注意が必要です。
まとめ
当該規定はまだ草案であるものの、17年度から適用とされており、またその影響が大きいことから、日本親会社と早めに連携をとって対応が必要と思われます。
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