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第125回 国外営利事業者が受領する賠償金の税務上の取扱い


ニュース その他分野 作成日:2017年11月15日_記事番号:T00073948

KPMG 分かる台湾会計

第125回 国外営利事業者が受領する賠償金の税務上の取扱い

 日本法人等の国外営利事業者が、特許権使用に関する賠償金を台湾法人から受け取ることがあると思います。今回は、国外営利事業者が取得する賠償金の税務上の取り扱いに関して北区国税局公表の事例を用いて解説します。

1.権利侵害名目の賠償金とロイヤルティー

 台湾法人が許可を受けずに国外営利事業者の特許を使用したため、国外営利事業者が特許権侵害名目でロイヤルティーの支払いを請求し受領した場合、当該対価は「賠償金」の受け取りであり、所得税法規定のロイヤルティーの免税は適用できないと北区国税局が説明しています。

2.北区国税局公表の事例

 国外営利事業者A社が台湾法人B社に対し、A社の特許権侵害を理由に提訴しました。その後双方が和解し、B社が和解金として2,500万米ドルをA社に支払い、その際に台湾の所得税法の規定に基づき20%の源泉徴収をしました。A社は経済部工業局へ所得税法第4条第1項第21号のロイヤルティー免税の適用申請をしました。しかし経済部工業局は、当該支払は訴訟の和解を目的とした和解金であり、ロイヤルティーの範疇(はんちゅう)に属さないとして、これを否認しました。

3.賠償金の税務上の取り扱い

 台湾法人が国外営利事業者と特許権、商標権、著作権および各種権利の使用を約定し支払う報酬はロイヤルティーに属するが、約定がなくこれらを使用し、国外営利事業者が権利侵害を提訴し発生する損害賠償金は、所得税法第8条第11号規定の「その他収益」に属すると国税局は注意喚起しています。

4.「その他収益」の税務対応

 台湾法人が国外営利事業者に「その他収益」に該当する支払いをする場合、20%の源泉徴収が必要です。源泉徴収後、当該国外営利事業者は収益獲得日から5年以内において、当該収益に関する原価および費用を差し引いた所得額を再計算し、台湾で還付申請をする事ができます。国税当局は国外営利事業者が提示した関連証憑、帳簿、会計士の証明書等を基に審査し還付をします。

5.まとめ

 ロイヤルティーの源泉税に関しては日台租税協定において10%の上限税率が設定されていますが、賠償金に関してはこの上限税率も適用できないことになります。所得税法規定の免税、租税協定の上限税率を用いるためには事前の台湾法人との約定が必要な点に注意が必要です。

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