ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第123回 駐在員事務所への税務調査


ニュース その他分野 作成日:2017年10月18日_記事番号:T00073432

KPMG 分かる台湾会計

第123回 駐在員事務所への税務調査

 台湾で駐在員事務所を設立し、活動をしている日系企業は少なくないと思います。最近台北国税局において、駐在員事務所の活動範囲が税務当局の認める基準を逸脱しているとして、営業税等の調査が実施されました。今回は駐在員事務所の活動範囲に関する法令および税務上のリスクについて、解説いたします。

1.駐在員事務所の活動に関する規定

 会社法において、外国会社が台湾において支店を設立せずに駐在員を台湾に派遣して業務上の(営業活動ではない)法律行為を行うときは、中央主務機関に必要な届け出および登記申請が必要と規定されています。経済部の解釈通達では、「法律行為」には契約締結、入札、購買、見積もりおよび価格交渉が含まれると明記されています。国税局の解釈通達では、駐在員事務所が外国本社のために従事する法律行為は、購買、検収および連絡窓口のみであり、対外的な営業行為がない場合、営業税と営利事業所得税(法人税)の課徴範囲に属さないとされています(ただし、営業外収益がある場合は、法に基づき営利事業所得税の確定申告および納付を行う必要があります)。

2.台北国税局の調査要点

 営業税と営利事業所得税の申告が不要であるため、これまで税務当局は駐在員事務所の活動に着目していませんでした。しかしながら、台北国税局は他の税務調査を通じて、多くの駐在員事務所が外国本社のために各種支援(例:マーケティング、バックオフィスおよび販売支援や顧客から提示された技術上の問題の支援)等を提供し、税法規定の活動を逸脱していることを発見しました。

 その結果、台北国税局は駐在員事務所の活動を調査要点とするようになりました。台湾国税局は以下の情報に基づき調査対象を選定し、調査票を送付することにより実施活動に関するさらなる情報を収集していると考えられます。

・外国本社のビジネスモデルおよび業種

・駐在員事務所の従業員数

・駐在員事務所が実施する活動

・駐在員事務所が国外本社から受領する資金

・外国会社の台湾での活動に関するその他公開情報

3.駐在員事務所の法令および税務上のリスク

 駐在員事務所の行為が営業活動と認定される場合には、過去7年間(査定期間)の取引に対して、営業税および営利事業所得税が課徴され、加えて過料が科されるリスクがあります。また、引き続き同様の活動を実施する場合には、その外国本社は台湾に支店または子会社を設立しなければなりません。

4.まとめ

 駐在員事務所による活動のうち、どのような行為が外国本社への支援に該当し、または営業活動に該当するのかは実務上グレーな部分があります。台湾において駐在員事務所への課税が強化される可能性がありますので、現在駐在員事務所が実施している業務が規定の範囲を逸脱している懸念がある場合には、専門家への相談、活動内容の見直し、または支店または子会社の設立の検討をお勧めいたします。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
日本業務組
Mail: kojitomono@kpmg.com.tw
TEL: 886-2-8101-6666
友野浩司(内線06195)
石井顕一(内線15359)
横塚正樹(内線16991)

KPMG 分かる台湾会計