ニュース その他分野 作成日:2017年11月1日_記事番号:T00073687
KPMG 分かる台湾会計台湾に短期滞在する日本人から台北国税局に、給与所得に対する日台租税協定の適用方法に関する質問が多く寄せられているようです。今回は給与所得に関する日台租税協定の適用に関して解説します。
1.日台租税協定における要件
日台租税協定に基づくと次の3つの要件を満たした場合に短期台湾出張者の台湾での個人所得税の課税が免除されます。
1)当該暦年において開始し、または終了するいずれの12カ月の期間においても、報酬受領者の台湾滞在期間が合計183日を超えない
2)報酬が台湾居住者以外の雇用者またはこれに代わる者から支払われるものである
3)報酬が雇用者の有する台湾内の恒久的施設または固定的施設によって負担されるものでない
2.台湾滞在期間の計算における混乱
前述の条件1)の台湾滞在期間が、台湾の所得税法による非居住者の所得税申告要件における計算と異なるため混乱が生じやすい状況となっています。日本でのみ給与を受給する短期台湾出張者について、所得税法では、1月1日から始まる暦年において台湾滞在日数が90日を超える場合に日本払い給与が非居住者として課税対象となり、182日を超える場合に居住者として課税対象になります。一方、租税協定では暦年ではなく「いずれの12カ月」ということで、極端な例では12月31日に台湾に滞在する場合は翌年の12月30日まで租税協定による免税が適用できるかが確定しない場合があります。
3.免税適用の一つの方法
個人所得税の申告期限は所得年度の翌年5月です。租税協定の要件で理解できるように、所得税の申告期限の5月においては、日台租税協定の給与所得の免税要件を満たしているかが確定できないことが想定されます。この場合、申告期限までに所得税法の規定に基づき申告納税し、租税協定の滞在日数の免税要件が確定した後に、租税協定を適用した還付申請をすることになると考えられます。
4.日台租税協定適用のための必要資料
台北国税局では、給与所得の日台租税協定適用のため、次の資料の提出が必要と説明しています。
・居住者証明(日本の国税当局発行)
・納税証明(日本の国税当局発行)
・パスポート
・雇用契約
・台湾における業務内容説明
・給与支給者名、給与金額および当該給与が台湾に雇用者が有する恒久的施設または固定的施設によって負担されたものではないことにかかわる声明書
5.まとめ
日台租税協定が締結され、短期滞在者に対する給与所得の二重課税回避の方法ができたものの、その実際の適用には煩雑な部分があります。まだ適用初年度であり国税当局でも経験がないところですが、今後適用案件が増え、実際の適用手続きがより簡素化されることが期待されます。
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