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第128回 外国法人の支店の本社管理費用配賦


ニュース その他分野 作成日:2018年1月17日_記事番号:T00075060

KPMG 分かる台湾会計

第128回 外国法人の支店の本社管理費用配賦

 外国法人の支店の営利事業所得税(法人税)申告において、外国本社発生の管理費用の配賦額の控除が認められます。今回は当該控除適用上の注意事項について、国税局の指摘事例を踏まえて解説します。

1.外国法人台湾支店の本社管理費配賦額の控除

 外国法人の台湾支店の営利事業所得税の計算において、当該支店で発生した営業上の費用や損失に加えて、本社で発生した管理費のうち合理的な基準により算出した支店に配賦すべき費用、いわゆる本社配賦経費を、以下の要件を満たした場合に台湾源泉所得から控除することが認められます。

1)本社機能を有する組織が対外営業を行わない場合で、営業部門や各支店が本社機能等の非営業部門の管理費用を共同して負担している場合

2)本社機能を有する組織の管理費用が台湾支店の原価等に含まれていない場合、または当該組織が支店に提供する運営資金に対して支店が利息を支払っていない場合

2.本社管理費の配賦方法

 管理費を負担する営業部門および支店等の営業収益を基準に配賦額を計算するほか、別に適切な基準がある場合は国税局の許可を得てその合理的配賦基準を採用することができます。配賦計算書類は公認会計士の監査を受けるとともに、台湾領事館などの認証を得る必要があります。

3.台北国税局の指摘事例

 台北国税局がある外国法人の台湾支店の2013年度の営利事業所得税の調査をしたところ、当該支店が申告上控除した管理費用に海外本社の管理費用のみならず、当該外国法人のグループの各営業拠点で発生した管理費用が含まれている事を発見しました。当該会社はグループの各営業拠点で発生した管理費用を含めたグループ全体の管理費用を連結売上高に占める各営業拠点の売上高割合により分担額を計算し申告していました。しかし、他の営業拠点で発生した管理費用の分担は台湾支店の認められる控除額に含まれないため、当該支店は国税局により管理費用の一部を否認され、追徴課税を受けました。

まとめ

 外国法人の台湾支店が本社管理費用配賦額を台湾の源泉所得から控除する場合は、計算対象の管理費用が台湾の税務規定の範囲内であるかに注意する必要があります。本社以外のグループ会社で発生した費用を支店の申告上損金にする場合は、管理費用の配賦ではなく、サービス提供に対する対価の支払いになり、台湾での源泉徴収の対象になるとともに、移転価格にも注意を払う必要がある点にご留意ください。

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