ニュース その他分野 作成日:2017年12月20日_記事番号:T00074601
KPMG 分かる台湾会計台湾の営利事業所得税(法人税)に過年度の繰越欠損金の控除規定があります。今回は欠損金の控除と各年度で課税を受けない課税免除額との関係について、高雄国税局の指摘事例を踏まえて解説します。
1.繰越欠損金の控除
営利事業者が欠損計上年度および控除年度においてともに会計士の税務監査を受け、税法規定の要件を満たした場合には、当年度の営利事業所得税の申告において年間所得額から過去10年間の欠損金の控除が認められます。
2.課税免除額
営利事業所得税の計算式において、課税所得額12万台湾元以下については営利事業所得税の課税が免除されています。従って、各課税年度において12万元が課税免除額と考えることができます。
3.高雄国税局の指摘事例
A社は2015年の営利事業所得税の申告において、年間所得額3,112万元に対し、過去10年間の査定済み繰越欠損金から3,100万元を控除し、課税所得額12万元、納付すべき税額ゼロとして申告をしました。高雄国税局の調査の結果、A社の2015年度における過去10年間の査定済み繰越欠損金が3,512万元あり、2015年度の申告において課税免除額(12万元)が残るまで繰越欠損金を控除し、課税免除額を利用して税額ゼロとしていることが分かりました。
高雄国税局はA社の課税免除額が残るまでの繰越欠損金の控除は税務の公平性・合理性および応能課税原則に反するとして、A社の2015年度の申告につき繰越欠損金控除額を3,112万元、未控除欠損金残額を当初の412万元(3,512万元-3,100万元)から400万元(3,512万元-3,112万元)として査定しました。
4.まとめ
営利事業所得税の課税免除額は税額計算の構造において生じるものであり、過年度の繰越欠損金の控除を認めた立法趣旨とは関連しません。営利事業者が過年度の繰越欠損金を営利事業所得税の計算において年間所得から控除する場合には、当該課税免除額が残るように控除することはできず、繰越欠損金がある限り年間所得全額まで控除する必要があります。また、繰越欠損金の適用誤りにおいても追徴利息加算が適用される可能性もありますので、ご留意ください。
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