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第129回 所得税法改正法案


ニュース その他分野 作成日:2018年1月31日_記事番号:T00075328

KPMG 分かる台湾会計

第129回 所得税法改正法案

 2018年1月18日に所得税法改正法案が立法院で可決されました。総統による公布後、18年1月1日にさかのぼって施行されます。今回は日系企業にとって影響の大きい営利事業所得税(法人税)率の変更と未処分利益に対する追加所得税に係る改正内容を解説します。

1.営利事業所得税率の引き上げ

 18年1月1日以降に開始する事業年度の営利事業所得税の税率が従来の17%の税率から20%に引き上げられます。なお、課税所得額50万台湾元(約190万円)未満の会社に対しては3年かけて20%に引き上げられる段階適用となります。税率の引き上げは18年1月1日以降に開始する事業年度からとなりますが、総統による公布後の決算(例えば18年3月期決算)の繰延税金資産・負債の計算においては、引き上げ後の税率を適用することになります。

2.未処分利益に対する追加所得税税率の引き下げ

 18年1月1日以降に開始する事業年度利益の未処分(留保)額に対する追加所得税税率が従来の10%の税率から5%に引き下げられます。

3.配当源泉税からの未処分利益課税税額控除

 従来、配当源泉税から納付済の未処分利益課税額の半額控除が認められていましたが、19年1月1日以降、当該制度が廃止されます。現時点で残存している控除額は18年12月末までの配当決議および送金により利用ができます。また17年度利益について18年中の株主総会で配当を留保した場合、従来の10%の追加所得税が発生しますが、当該留保した利益をその後配当できるのは早くとも19年1月1日以降になりますので、半額控除の機会はありません。

まとめ

 未処分利益に対する追加所得税に関する税制は10%課税後の半額控除と従来複雑でしたが、今後は簡素化されます。しかしながら、当該改正に伴い、従来の10%課税後の半額控除の権利が18年12月末でなくなりますので、18年中の配当額を慎重に検討する必要があります。なお、18年中の配当により半額控除を利用したいが資金繰りが難しい場合、現金の代わりに株式を交付する株式配当によっても半額控除を利用できますので、株式配当も一つの選択肢になります。

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