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第130回 グループ企業への貸し付けにおける税務留意事項


ニュース その他分野 作成日:2018年2月7日_記事番号:T00075441

KPMG 分かる台湾会計

第130回 グループ企業への貸し付けにおける税務留意事項

 グループ企業間資金融通により、グループ内の資金の効率的な利用を行っている企業グループは少なくないと思います。今回はグループ企業への貸し付けにおける税務上の留意事項について、国税局の指摘事例を踏まえて説明します。

1.グループへの貸し付けにおける利率

 第三者である銀行からの借り入れや第三者の会社に対する貸し付けにおける利率では、お互いの合理的な判断に基づき双方の許容可能な利率に決まります。しかしながら、グループ間の資金融通における利率はグループ企業間の力関係や、損益状況により恣意(しい)的に決定される恐れがあるため、移転価格の問題が生じます。

2.貸付利率に関する税務規定

 台湾所得税法では、株主、取締役および監査役が会社の資金を流用する場合、横領等で会社が起訴する場合を除き、会社は当該年度の1月1日における台湾銀行の基準利率により受取利息を計上する必要があるとされています。しかし、グループ会社間の取引においては、台湾銀行の当該基準金利に基づき受取利息を計上するのではなく、移転価格監査準則に基づいた独立企業間価格による受取利息を計上する必要があるとされています。

3.国税局の指摘事例

 北区国税局がA社の2014年度の営利事業所得税(法人税)の調査をしたところ、A社は台湾銀行の基準金利(2.896%)で関係会社である韓国B社に貸し付けを行い、受取利息約5,000万台湾元(約1億8,800万円)を計上していました。国税局は監査準則に基づき韓国B社の信用状況および信用評価データベースに基づき独立企業間取引における利率を計算し、A社の受取利息を約7,000万元と査定しました。

まとめ

 台湾銀行の基準金利は約2.9%と定期預金金利よりも高くなっていますが、関係会社に対する貸し付けについては基準金利を用いていたとしても税務リスクがある点にご注意ください。貸付金の金額が大きい場合は税務リスクもそれに比例して大きくなりますので、信用評価データベースを用いた独立企業間取引における合理的な利率の事前分析も税務リスクを下げるために有用と思われます。

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