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第120回 吸収合併と清算の比較


ニュース その他分野 作成日:2017年8月16日_記事番号:T00072320

KPMG 分かる台湾会計

第120回 吸収合併と清算の比較

 欠損金を有する子会社について撤退の意思決定をする場合、通常は清算を考えますが、それが台湾における再投資の場合、吸収合併も考えられます。今回は、台湾の再投資子会社の吸収合併と清算について解説します。

1.完全子会社を吸収合併する場合の税務上の取り扱い

 前回解説の通り、完全子会社を吸収合併する場合、消滅する子会社の欠損金は日本と異なり、存続会社が引き継ぐことができません。ただし、合併により存続会社にて実現する子会社株式の投資損失を損金算入することができます。

 また欠損のある会社は仮払営業税が残存しているケースが多くあります。当該仮払営業税については存続会社が引き継ぎ、存続会社の仮払営業税として、仮受営業税と相殺することが可能です。

2.完全子会社を清算する場合の税務上の取り扱い

 子会社を清算する場合には、清算完了時に子会社株式の投資損失を税務上の損失とすることができます。仮払営業税については吸収合併と異なり、親会社に引き継ぐことはできず、清算完了前に還付申請を行うことになります。還付を受けた仮払営業税は、残余財産として親会社に還元されることになります。当該還付手続きは実務上1~2年程度かかることもあり、国税局からの質問や資料要求に対応することが必要となります。この対応コストや、資料不足による最終的に還付されないリスクなどを考慮し、清算時に仮払営業税を放棄することもあります。

3.完全子会社でない場合の留意点

 前回の解説の通り、吸収合併の場合、合併後の各株主の持分比率により引き継げる繰越欠損金の金額が決まります。また、外部株主がいる場合には、合併後の存続会社の株主構成比率に影響を与えるため、合併比率の決定を慎重に行う必要があります。一方、清算する場合には、外部株主に対して、残余財産の配分を行うのみになります。

まとめ

 完全子会社の場合には、仮払営業税の還付手続きが煩雑なことを除いて、吸収合併と清算で実質的に大きな差はありません。ただし、吸収合併か清算のいずれの方法によるかについては、税務上の観点のみならず、外部株主や従業員などへの影響を考えて慎重に決定する必要があり、会計事務所のみならず、弁護士などの専門家を交えて検討する必要があるものと考えます。

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