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第100回 商品券の損金計上について


ニュース その他分野 作成日:2016年10月5日_記事番号:T00066730

KPMG 分かる台湾会計

第100回 商品券の損金計上について

 顧客など取引先への贈答などのために百貨店の商品券を購入することがあると思います。今週は百貨店などの商品券の税務上の損金算入に関する事例をご紹介いたします。

1.商品券購入費用の損金計上の否認事例

 財政部南区国税局よりある事例が公表されました。管轄内の鉄鋼企業の2014年度の営利事業所得税確定申告の内容を調査したところ、同社が費用の証憑として取得した百貨店の統一発票が100万台湾元余りに達していることを発見しました。同社の説明によると、百貨店の商品券の購入費用であり、法令に従い百貨店の統一発票を入手し、その目的に従い、交際費、従業員福利費およびその他費用などの勘定科目に計上し申告したとのことでした。当該主張に対し南区国税局は、計上額が交際費および従業員福利費の損金算入限度額には達していないものの、同社が商品券を利用し購入した商品と会社の業務との関連性を証明できないとして、全額損金不算入として追徴課税しました。

2.損金計上の前提条件

 所得税法第24条において、「営利事業所得の計算は、その年度の収入総額から、各種の原価費用、損失および租税を差し引いた後の純利益額をその所得額とする」と規定されています。その上で、所得税法第38条および営利事業所得税監査準則第62条において、「会社の業務および付随業務以外の損失、家庭の費用、各種税法規定の滞納金など各種罰則金については、損金算入ができない」と規定されています。従いまして、会社の費用、損失として税務上損金算入するものは、会社の業務および付随業務との関連性が必要で、さらにそれを税務当局に説明できる必要があります。

3.商品券の損金計上に関する注意点

 百貨店、スーパーマーケット、量販店などにおいては、商品券を購入することが可能で、支払い時にはこれらの店舗が発行する正式な統一発票を入手することができます。会社の統一番号を記載した統一発票を入手することで、税務上の損金算入に関する問題はなくなると思いがちです。

 しかし、商品券は最終的な購入品または消費サービスではなく、また統一発票にもその最終的な購入品または消費サービスの内容が記載されません。従って、統一発票を入手するのみでは、会社の業務との関連性を証明することができません。会社が商品券を購入する場合は、購入時の統一発票を入手するのは当然のこと、その商品券の使用用途、また商品券により取得した商品およびサービスについて業務との関連性が分かるように社内記録を残すことが必要と考えられます。

まとめ

 営利事業者が贈答品として商品券購入代を交際費に計上する場合や商品券により取得した商品およびサービスについて、その対象および業務との関連性を証明できない場合、税務当局から損金不算入として追徴課税されるリスクがあります。加えて、当該贈答を個人に行う場合には、所得税の源泉徴収が必要となる可能性もありますので、こちらも留意する必要があります。

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