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第97回 福利厚生費の損金算入について


ニュース その他分野 作成日:2016年8月17日_記事番号:T00065889

KPMG 分かる台湾会計

第97回 福利厚生費の損金算入について

 前回は、営利事業所得税(法人税)計算における交際費の損金算入要件について説明しました。今回は、福利厚生費(中国語では職工福利費)の損金算入限度額について説明します。

1.福利厚生費の範囲

 福利厚生費は給与以外による、従業員の福利のための間接的給付です。日本ではよく交際費と給与との区分が問題になりますが、台湾では社内の人との飲食費は福利厚生費とされ、社内交際費という概念はありません。また、日本では法定福利費といわれる健康保険料などの会社負担分については、台湾では一般的に保険料などの勘定で計上され、福利厚生費には含まれません。

2.福利厚生費の損金算入限度額

 台湾での福利厚生費の損金算入限度額については、従業員福利委員会(以下、福利委員会)設置会社とそれ以外の会社の場合に分けて規定されています。

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・福利委員会を設置している会社

 従業員福利金条例の規定により従業員50人以上を常時雇用する会社は、福利委員会を設置する必要があります。次の表の通り、当委員会への拠出および損金算入限度が規定されています。

 基本的に、実際の個々の福利厚生費は福利委員会から支払われることになります。なお、従業員のレクリエーション活動、旅行、会食などの費用で、福利委員会の資金不足などにより会社から直接支出される場合には、その他費用に計上するとされていますが、結果的に損金計上が認められています。また、従業員の医療費を会社が負担した場合は、実際の支出額に基づき福利厚生費として、損金算入が認められます。

・福利委員会を設置していない会社

 福利委員会を設置していない会社は、下表のAおよびBの上限金額が損金算入限度額になります。従業員の医療費およびレクリエーション活動などの費用の取り扱いは上記と同様です。

3.福利厚生費の注意事項

 社員旅行・尾牙(忘年会)などの費用は、従業員全員を対象にすることを前提に、福利厚生費として認められます。一部の社員しか参加しない旅行や、社員の役職によって会社負担額が異なる場合などは、当該費用は従業員の所得として認定されます。また、尾牙の景品・賞金については金額の多寡に関わらず、従業員の所得として認定されます。いずれも従業員の所得として認定した場合、会社は給与として損金算入が認められることになります。一方、従業員全員に平等に提供されるものに関しては、1人当たりの金額の制限は無く、先に述べた規定に基づき損金算入が認められます。

4.営業税の取り扱い

 交際費同様に福利厚生費の支出に係る営業税については、営業税の仕入税額控除の対象になりません。上記限度額計算は営業税込の福利厚生費金額に基づいて行われます。

まとめ

 日本にはない福利委員会の制度があること含め、少し分かりづらい規定だと思います。実務上は損金算入限度額よりは、従業員の所得となるという点に注意が必要ではないかと思います。

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