ニュース その他分野 作成日:2016年8月3日_記事番号:T00065621
KPMG 分かる台湾会計前回は、営利事業所得税(法人税)計算における貸倒損失の損金算入要件について説明しました。今回は、日本でもよく税務否認が議論となる交際費の損金算入限度額について説明します。
1.交際費の範囲
日本において、交際費は損金算入限度額があるため、その定義がよく問題になります。日本では1人当たり5,000円以下の飲食等の費用について会議費等の名目で交際費に含めない実務がありますが、台湾ではこのような金額基準はありません。仕入れまたは販売のための取引先との交際費用については、全て交際費に含められ、限度額計算が行われます。また、日本では社内交際費という名目で従業員の飲食等にかかる費用も交際費としての実務がありますが、台湾ではこれらの費用は交際費になりません。交際費は社外の取引先との交際のための費用に限られます。社内の人との飲食の費用は一般的に福利厚生費に含まれます。福利厚生費は別途限度額が設定されています。
2.交際費の損金算入限度額
交際費は①仕入高②売上高③役務収益額④運輸収益額⑤輸出による外貨収入──のそれぞれの額に対する損金算入限度の比率が定められており、その比率で計算された額の合計額が損金算入限度額になります。比率は⑤を除き、金額により3~4段階に分かれており、また公認会計士による税務監査を受ける(または青色申告の)場合はそれ以外より有利な率になっています。⑤の輸出による外貨収入は②の内数ですが、②の限度額に加えて2%が特別交際費として損金算入限度額が認められています。
損金算入限度額の計算例を示すと下記の通りです。
例1)①仕入高2億台湾元、②売上高3億元(うち⑤輸出による外貨収入1億元)で③、④は無く、税務監査を受けるケース
①2億☓0.1%+9万(累進差額)
+②3億☓0.3%+21万(累進差額)
+⑤1億☓2%=340万元
例2)上記と同じ金額で、税務監査を受けていない(青色でない)申告書のケース
①2億☓0.05%+9万(累進差額)
+②3億☓0.2%+19.5万(累進差額)
+⑤1億☓2%=298.5万元
3. 交際費に係る営業税の取り扱い
交際費の支出に係る営業税については、営業税の仕入れ税額控除の対象になりません。上記限度額計算は営業税込みの交際費金額に基づいて行われます。したがって、損金算入限度額以下に含まれた交際費の営業税部分については、営利事業所得税の計算上損金算入できることになります。しかし、損金算入限度額超過分に含まれた交際費の営業税部分については、営利事業所得税の計算上損金算入されません。
まとめ
現在、日本の交際費は支出額の50%を超える金額が損金不算入となります。日本と台湾の計算方法が異なるので、一概にどちらがいいとはいえませんが、交際費が少ない企業にとっては全額損金算入の可能性がある台湾の制度の方が有利と考えられます。いずれにしても、日本、台湾ともに冗費と考えられる交際費は税法において損金算入限度額が設定されていますので、接待交際が多い企業はその支出額に注意が必要です。
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