ニュース その他分野 作成日:2016年6月1日_記事番号:T00064476
KPMG 分かる台湾会計昨年2015年11月26日に日台租税協定(通称)が締結され、その適用開始を心待ちにしている会社も多いと思います。今回は、その日台租税協定の適用に向けての現状および源泉税率減免に関する申請・届け出の具体的手続を説明します。
1.効力発生条件
日台租税協定の第28条において、次のように定められています。
「公益財団法人交流協会および亜東関係協会は、この取り決めの効力発生のためにそれぞれの地域において必要とされる手続が完了したことを書面により相互に通知する。この取り決めは、双方の書面による通知のうちいずれか遅い方が受領された日に効力を生ずる」。
「それぞれの地域において必要とされる手続」に関し、台湾においては15年12月10日に行政院で承認され、日本においては16年3月29日に国会で可決されたことで、ともに完了しています。「双方の書面による通知」については、現状未完了となっています。ただし、本年中の完了は確実で、予定通り17年1月1日からの適用と考えられています。
2.源泉税率の減免
日本に対する配当、利息およびロイヤルティー支払いの源泉税率が、従来の20%から10%(上限税率)に軽減されます。減免税率の適用は必要書類を添付の上、申告する届け出方式です。届け出方式とは、必要書類提出後、税務当局の許可を必要としないというものです。必要書類※は下記の通りです。
共通
1.所得者の居住者証明(日本の税務署で入手)
2.受益所得者証明(実務上、所得者が作成する声明書を用いる)
配当
1.株主名簿または出資者名簿
2.投資審議委員会の投資許可通達
3.配当支払計算書または通知書
利息
1.金銭貸借契約書または預金証明書
2.利息計算明細または通知書
ロイヤルティー
1.授権契約書(中国語訳が必要)
2.ロイヤルティー計算明細
※国税当局から追加で資料の要求がある可能性があります。
なお、日本の税制において、租税協定による上限税率を超えた源泉税額は外国税額控除の適用を受けられません。従って、租税協定適用開始後に上記の支払いを日本に行う場合は、必要書類を揃えて届け出をし、軽減税率を適用することをお勧めいたします。
3.事業所得の免税
日本法人の台湾における役務提供等の事業所得に関して、当該日本法人が台湾にPE(恒久的施設)を有していないまたはPEを経由して役務提供等を行っていない場合は、その事業所得は台湾において免税となります。この適用は申請方式であり、必要書類を提出後、税務当局から許可が得られた際に適用されます。申請から許可が得られるまで一般的に3~6カ月を要すると考えられます。許可取得前の送金は20%の源泉徴収が必要であり、源泉徴収後に許可を取得した場合は、還付申請ができます。申請時の必要書類は下記の通りです。
1.免税申請書
2.所得者の居住者証明(日本の税務署にて入手)
3.契約書(中国語訳が必要)
4.所得者から申請者への委任状
5.その他税務当局から要求される説明資料(具体的役務提供の資料等)
まとめ
台湾では5月20日に民進党への政権交代がありました。両岸関係は悪化が予想され、日台租税協定に先立って締結された両岸租税協議の適用開始時期が見えなくなっています。一方、日本では日台関係のさらなる強化が期待されます。日本人にとっては政治とともに、租税協定の適用により経済関係もより活発になることが期待されます。
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