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第93回 消費税と営業税の比較


ニュース その他分野 作成日:2016年6月15日_記事番号:T00064714

KPMG 分かる台湾会計

第93回 消費税と営業税の比較

 日本では今月、安倍総理大臣が新たな判断により、消費税増税の再延期を正式表明しました。台湾の報道では、財政再建の放棄という言い方もされていました。今回は、日本の消費税と、台湾における同様の税金である営業税とを比較したいと思います。

1.ともに付加価値税

 まず基本的な構造部分において、消費税、営業税ともに付加価値税である点が共通しています。製造、卸、小売りといった取引の各段階において、各事業者の売り上げに課税する一方、課税の重複を回避するため、前段階で負担した税額を控除する多段階課税の仕組みです。ただし、次のいくつかの点においてその制度が異なります。

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2.インボイス方式の採用

 前段階の負担税額を控除する仕入れ税額の控除要件として、消費税では課税仕入れなどの事実を記載した帳簿および請求書などの保存が要件とされるのに対して、営業税では統一発票という法定証憑に税額および統一番号が記載されることを要件とするインボイス方式が採用されている点が異なります。一般的にインボイス方式のほうが正確な課税が行われると言われています。

3.申告時期

 消費税は原則として1年の課税期間の終了後2カ月以内に申告します。例外としては恒常的に還付が生じる事業者などへの制度として、課税期間を3カ月または1カ月に変更することも可能です。営業税は原則として2カ月分を一括して奇数月の15日までに申告します。例外として、同じく恒常的に還付が生じる事業者などへの制度として1カ月ごとに翌月15日までの申告を申請することも可能です。

4.不課税、非課税、免税およびゼロ税率

 いずれも同じような意味に思えますが、消費税および営業税においてはそれぞれ意味を持って定められています。消費税における免税が、営業税におけるゼロ税率にほぼ相当すると考えられます。免税(消費税)、ゼロ税率(営業税)ともに、前段階で負担した税額が全額控除できます。非課税(消費税)および免税(営業税)の場合は、前段階で負担した税額は控除対象となりません。消費税の不課税は、営業税の対象外と同義と考えることができると思いますが、消費税の仕入税額控除の計算においては一定の意味があります。

5.還付

 消費税においては、前段階で負担した税額(仮払い消費税)が、売上時に預かった消費税(仮受け消費税)を超えた場合は原則として申告により還付を受けることができます。例えば、設立当初で売り上げが少ないが経費が多い場合、多額の固定資産を購入した場合、輸出取引が多い場合などのケースです。一方営業税において仮払い営業税が仮受け営業税を超える場合、超過額は原則として翌申告期に繰り越して翌期以降の控除に利用します。還付はゼロ税率適用の仮払い営業税、固定資産購入時の仮払い営業税、解散等の場合に限られます。

まとめ

 同じような制度ですが、国が異なりますので、細かい部分は当然異なります。日本の税務当局の観点では、台湾がインボイス方式を採用できていることがうらやましい限りであると思われます。ただし、台湾で生活をしていると、いかにも個人としての消費と思われるものでも統一発票に統一番号を入れてもらう姿を見ていると、実態はそれほどでもないと思わずにいられません。

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