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記事番号:T00061723
2016年1月27日15:34

 最近、台湾の税関では、限度額を超えた台湾元の持ち出しが多く摘発されています。それらの当事者のほとんどは、税関から「退運(持ち出し禁止処分)」を受けただけで済んでいますが、持ち込みまたは持ち出しの対象が台湾元でなく外貨の場合、話は大きく異なります。なぜならば、最高行政裁判所が、それらの外貨は「全額没収」されるべきとの判決を下しているからです。

 2005年11月、台湾の税関は、長栄航空(エバー航空)のフライトで台湾に到着した当事者の手荷物の中に500万香港ドルの現金を発見、1万米ドル相当の香港ドルの持ち込みを許可すると同時に、それ以外は全額没収する処分を下しました。当事者は最高行政裁判所まで争いましたが、訴えは退けられました。

 この最高行政裁判所の判断に先立って、台北高等行政裁判所は07年の判決の中で次のように判断していました。

1)申告が必要ない「グリーンゲート」を通過する旅客は、原則として検査を受ける必要はないが、税関が必要と判断した際には検査を行うことができる。税関は、旅客が税関から検査を受ける以前に「自主申告」した場合、および税関に対して質問をした後に「自主的補足申告」した場合を除き、その他一切の申告を受けることはできない。

2)原告は、自らグリーンゲートを通過しようとし、異常を発見した税関に呼び止められた後に申告を申し出たが、このような申告方法は「検査後に行った申告」であり、前述の「自主申告」(または「自主的補足申告」)とは異なるものである。

 高等裁判所のこの判断に対して原告は、全額没収という処罰は、自主申告を行わなかったことにより発生する危害と比較して厳し過ぎ、「比例原則」に違反するため、状況を斟酌(しんしゃく)して没収金額を減額するべきであると主張し、最高行政裁判所に対して上告しました。しかし、最高行政裁判所は09年、以下の判決を下して、「自主申告がなければ全額没収」との原則を確認しました。:「旅客が外貨を海外へ持ち出し、または海外から持ち込む際、その申告の義務を怠ったものについては、それを全額を没収することが法に明記されている。これについては行政機関に対して裁量権を付与していない」。

没収判断に例外なし

 さて、この判決があった09年以降、最高行政裁判所は同様の事件に対して、以下のような判断を下しています。

1)08年11月、韓国籍の原告が14万米ドルと日本円3,000万円を携帯して出境しようとした際、税関にそれぞれ1万4,000米ドル、日本円30万円として申告したため、税関は申告されなかった金額を全額没収した。

 原告は「記載ミス」であり故意はなかったと主張したが、最高行政裁判所は、申告義務違反に故意・過失の有無は問わないため、両者は同様に処理されると判断した。

2)09年6月、台湾籍の原告が香港から入境した際、預け入れ荷物のX線検査に異常が見られたため、航空警察が原告を尾行・観察した。

 原告がグリーンゲートを通過しようとしたため、税関職員はレッドゲートにおいて原告の荷物を検査、荷物の底部から8万6,000米ドルを発見し、7万6,000米ドルを没収した。最高裁判所はこの処分を維持した。

3カ月後に追徴のケースも

3)09年4月、原告である蒲氏は出境時、荷物のX線検査を受けた後、その場を離れようとした際に、空港警察に呼び止められ、荷物の内容を聞かれた。

 原告は財布の中には日本円が入っているとだけ伝えたため、税関はそれら日本円全額の持ち出しを認めたが、3カ月後、原告に対し、限度額を超えた部分の日本円899万円の追徴処分を下した。

 しかし原告が処分に従わなかったため、税関は新たに「当該物品の価値300万5,357台湾元を追徴する」旨の処分を下した。

 原告は行政訴訟を提起したが、最高行政裁判所は税関の処分を維持した。

4)12年2月、原告である俞氏は出境時、空港警察に手荷物検査を受け、79万香港ドルを発見され、限度額を超えた部分の没収処分を受けた。

 原告は「36時間以内に入境した際に香港ドルを持ち込むことは申告していること」、および「出境時に所持していた香港ドルの金額は、入境時よりも少額であったため、実質上は管理外匯條例(外貨管理条例)に違反していないこと」を主張し、行政処分を提起した。

 しかし行政裁判所は、原告が規定を順守することには何らの困難もなかったとし、罰を免れることはできないと判断した。

5)14年7月、台湾の企業家である沈慶京氏は、マカオに行くため出境する際、空港警察の検査を受け、手荷物の中の100万香港ドルを発見され、税関に限度額を超える部分の香港ドルを没収された。

 原告は「入境時に申告が必要なことは知っていたが、出境の際にも必要だと走らなかった」、「またAPECカード専用通路にもそのような表示はされていなかった」と主張した。

 最高行政裁判所は15年11月に判決で、「限度額を超えた香港ドルまたはマカオパタカを携帯している場合、限度額を超えた外貨を携帯しているものと見なし同様に処理すべき」と説明し、税関の処分を維持した。

 これらの案件から分かるように、限度額を超えた台湾元の持ち込み、または持ち出しは「退運」処理を受け、最悪でも過料を納めれば済みますが、限度額を超えた外貨の持ち込み、または持ち出しには、その金額、または故意・過失の有無にかかわらず、限度額を超えた部分について全額没収されることになり、また税関には裁量を行う余地もありません。

徐宏昇弁護士事務所
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